九州で聖火リレー 感染注視し柔軟に変更を

 東京五輪の聖火リレーが明日から九州でも始まる。新型コロナウイルスの感染拡大で、五輪開催自体が不安視される中である。関係者はコロナ対策の徹底のみならず、感染状況が悪化した際の計画見直しまで想定しておく必要がある。

 聖火は3月25日に福島県をスタートし、近畿や四国を経て大分県から九州に入る。その後は宮崎、鹿児島、沖縄、熊本、長崎、佐賀、福岡の県内をそれぞれ2日かけて巡る。東京五輪の開会まで100日を切り、本来なら期待を膨らませる一大イベントになるはずだった。

 全国で約1万人の走者が聖火をともしたトーチを121日かけてリレーし、7月23日に東京にゴールする当初計画は、既に変更を余儀なくされている。

 大阪府は今月13、14日に予定していた18市町の公道を使ったリレーを中止し、聖火ランナーは無観客の万博記念公園を走った。愛媛県と沖縄県も予定の一部取りやめを決めた。いずれもコロナの感染者が増加したためで、やむを得ない措置だろう。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会は聖火リレーのスタート前に、見物客が沿道に密集したら移動を呼び掛ける方針を示した。密集が解消されない場合は、その区間のリレーを中止する可能性にも言及した。実際に見物客が集まって混雑した都市もあり、感染拡大を心配した人も少なくないはずだ。

 大型連休を挟んだ日程が組まれた九州の聖火リレーも難しい対応を迫られる。

 福岡県は新規感染者が連日100人を超え、今日から5月19日まで福岡市の飲食店などに夜間営業時間の短縮要請に踏み切る。感染力の強い変異株の増加が懸念材料だ。他の県でも感染は拡大傾向にあり、県民に不要不急の外出自粛を呼び掛けている知事もいる。

 聖火リレーは感染防止を何より優先しなければならない。市街地や著名人が走る区間は見物客が集中する可能性がある。沿道が密集状態になったり、歓声を上げたりすることがないように、繰り返し注意喚起する必要があろう。周辺の住民を不安にさせてはならない。

 国内で57年ぶりとなる夏季五輪の聖火リレーを心待ちにしている人もたくさんいる。家族や友人、職場の同僚に支えられ、入念に準備をしてきたランナーもいるだろう。こうした人たちの晴れ舞台を実現するためにも徹底した対策が欠かせない。

 仮に感染状況が悪化すれば、組織委員会や地元の実行委員会は会場の変更、あるいは聖火リレーの中止を臨機応変に判断すべきだ。関係者はあらゆる事態に備え、聖火を迎えてほしい。

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