「思いを言葉にする力」育む面接 福岡少年院が全国初導入

 福岡少年院(福岡市南区)は1月から全国の少年院で初めて、新たな面接手法「リフレクティング」に取り組んでいる。職員が更生に向けた改善点を伝える従来の面接とは異なり、少年側が主に発言することが特徴。気持ちを言葉にする能力を育むことが狙いで、社会復帰後の対人トラブル防止につなげる。

 3月末、法務教官と少年が向き合い、その様子を教官2人が見つめていた。

 -教官 何か話したいことがある?

 -少年 社会に戻って仕事が続けられるのか。

 -教官 不安なの?

 -少年 あと2カ月で退院ですが、出てからの自由に耐えられるのか。不安というか何というか…。

 教官は自らの意見を挟まないよう質問し、少年の内面を掘り下げた。一区切り付くと「観察者の先生に感想を聞いてみよう」と、やりとりを見守る別の教官2人に向き直った。

 教官3人は少年の目の前で、面接の感想を述べ合った。従来の面接は教官と少年が1対1で行い、教官同士の意見交換を少年が目にすることはなかった。少年は「複数の人の前で話すのが苦手だったけど、大丈夫になってきた。3人の先生の視点も知ることができて良かった」と話した。

       ∞

 少年院には虐待などで家庭での居場所を失い、非行に走った子もいる。「感情をうまく表現できないイライラから暴力に及ぶ場合もある。自らの言葉で語る力を身に付けさせたい」。昨年9月、中島学前院長(現札幌矯正管区長)がリフレクティング研究者で熊本大の矢原隆行教授を講師に招いた。

 職員約10人が講習に参加し続け、1月から反省の深まった少年との面接に取り入れ始めた。月1回の講習で指導する矢原教授は「話し手が語りたいことを丁寧に聞くのが大原則。何かを決めたり、説得したりする場ではない」と説明する。

 「こうあるべきだ」と教え、導く面接が一般的で当初は現場でも戸惑いがあった。面接を重ねる中で、舟谷善之教官(40)は「少年自らの気付きの機会になっている」と感じるようになった。春口将人教官(27)も「観察者として同僚のやり方に触れ、面接の技量を磨ける」と効果を語る。

 全国の少年院では発達障害や知的障害のある少年の割合が増えている。中島前院長は「社会復帰後の生きづらさを取り除くことを見据えた新たな挑戦だ」と語った。 (一瀬圭司)

 【ワードボックス】リフレクティング

 1985年にノルウェーの精神科医が始めた面接手法で、北欧では刑務所での導入が進む。話し手と聞き手のペア、対話を見守る観察者(複数可)が参加し、基本的には話し手が語りたい時に好きなテーマで行う。ペアで対話後、聞き手と観察者が話し手の目の前で感想を述べ合い、再びペアでの対話に戻ることを繰り返す。

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