福岡に緊急事態 九州全体に波及させるな

 新型コロナウイルスの特別措置法に基づく緊急事態宣言は、東京、大阪など4都府県の期限が31日まで延長され、新たに愛知、福岡両県が追加されることになった。福岡への宣言は3回目となる。

 専門家は4都府県の宣言が短期では効果は薄いと指摘してきたが、菅義偉首相は「短期集中」にこだわった。見通しが甘かったと言わざるを得ない。

 福岡についても、政府と県の連携が不十分で、対応が後手に回った印象が拭えない。

 福岡県の新規感染者は4月中旬に増加の勢いが増した。県は福岡市の飲食店に時短営業を求めるなどの対策を講じたが、それで県民の危機意識が十分に高まったとは評価できない。

 政府の基本的対処方針分科会では当初から、福岡の状況を危惧する専門家の声が相次いでいた。尾身茂会長まで「重点措置を打つ要件がそろっている」との認識を示したものの、政府は措置適用を見送っている。

 緊急事態宣言に至らぬよう、感染拡大の兆しを捉え、まん延を防止するために設けられたのが重点措置だ。新規感染者数の最多記録更新を受け、福岡県がようやく重点措置適用を政府に要請したのは、大型連休のさなかだった。その答えとして連休明けに出されたのが、唐突な緊急事態宣言である。

 県民の多くが驚いたのではないか。なぜ、こうした展開になったのか、政府と県は経緯を丁寧に説明すべきだ。

 感染は九州全県で広がっている。複数の県で新規感染者数が過去最多を更新し状況が悪化している。今後どの県に緊急事態宣言が出てもおかしくない。今回の宣言で福岡県内を引き締められれば、九州全体の感染拡大を抑止する足掛かりになろう。

 大阪府では医療崩壊が始まった、と指摘されている。周辺自治体も含めた広域の医療連携を早急に構築すべきだ。九州でも不可欠な取り組みである。

 福岡県の病床も徐々に埋まり始めている。先手先手で新型コロナ対応病床を積み増し、医療スタッフを確保することが急務だ。軽症者用の宿泊施設と見守り要員の拡充も急ぎたい。

 特措法によるさまざまな自粛や時短営業の要請は、生活や経済に大きな打撃を与える。飲食店などが経営を継続できる手厚い支援をしたい。時短要請などは可能な限り回避すべきだが、判断が遅れて感染拡大を招けばより強い対策が必要になる。

 切り札となるワクチンが足りない以上、頼みの綱は市民の感染対策だ。自粛疲れも広がる。政府や自治体は今回の宣言を最後にするくらいの覚悟を示し、協力を呼び掛けるべきだ。

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