福岡県3度目の緊急事態 知事「対策見極め」遅れた変異株対応

 福岡県が3度目の緊急事態宣言に追い込まれた。県は1日に「まん延防止等重点措置」の適用を要請したばかりだが、同措置を飛び越えて宣言の発出を政府に迫られた形だ。ただ、県内の感染状況を巡っては大型連休前から専門家が警鐘を鳴らしていた。対策強化に消極的だった政府の姿勢も重なり県の対応が後手に回った結果、感染拡大を止められなかった。

 「政府の判断を尊重し、受け入れざるを得ない」。服部誠太郎知事は7日夜の記者会見で、まん延防止措置で乗り切りたかった無念さをにじませた。

 県独自の時短要請など、これまでの対応については「感染の広がり状況を分析して適切に手を打ってきた」と胸を張ったが、この日の感染者数は472人に達して過去最多を更新。収束の兆しが見えない要因を「従来型の状況の見込みと、変異株のまん延状況に差があった」と分析した。

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 福岡県への強い危機感は4月中旬から示されてきた。同16日には政府の専門家分科会で「大阪を想起させるような増加」などと懸念が示され、尾身茂会長は「重点措置の要件がそろっている」とまで踏み込んでいた。

 服部知事は、同22日から福岡市の飲食店を対象に午後9時までの時短要請を始め、同25日からは久留米市にも拡大。感染者の8割が変異株に置き換わる中で、感染の勢いはとどまらず、同28日には新規感染者が400人を突破した。それでも服部知事は「今の対策の効果を見極めたい」と繰り返した。

 感染拡大の兆しを捉えていたにもかかわらず県の対応が遅れたのは、経済悪化への懸念に加え、東京五輪・パラリンピックへの影響を心配し、まん延防止措置や宣言の追加を避けようとした政府の姿勢も影を落としている。

 大型連休前には福岡県の複数の指標は宣言発出の目安となる「ステージ4」に達していたが、政府は宣言を先送り。菅義偉首相は宣言に関し、範囲や期間をなるべく小さくしたい意向を周囲に語っている。6日に招集された閣僚会合でも、当初は福岡をまん延防止措置とする方向で話が進んでいたが、九州各県の懸念を把握していた西村康稔経済再生担当相が首相に危機感を訴え、宣言発出が決まった。

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 県幹部は、政府側から「ほかの自治体に影響するからまん延措置の要請は耐えてくれとほのめかされていた」と明かす。ただ、政府の意向があったとはいえ、「知事が様子を見ている間に感染拡大を招いたことは否めない」(医療関係者)。県は5月1日にようやくまん延防止措置の要請に踏み切ったが、人の流れが増える大型連休前の対策強化には間に合わなかった。感染拡大を防げなかった知事としての責任は重い。

 県は4月中旬から病床を新たに約200床確保したが、病床使用率は60%超に逼迫(ひっぱく)。重症者は40人を超えて過去最多に迫っている。

 なぜ、もっと早く強い措置を打てなかったのか―。

 服部知事は「ご意見、ご批判もあると思う」と述べた上で、絞り出すように語った。「しっかりと受け止めて、今決定した対策をしっかり実施しコロナの封じ込めに全力を挙げる」 (黒石規之、湯之前八州)

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