「アナフィラキシー」日本は多い? ワクチン接種の注意点は

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 九州の一部自治体で高齢者への接種が始まった新型コロナウイルスワクチン。心配なのが副反応で、重いアレルギー反応「アナフィラキシー」が各地で確認されている。厚生労働省によると、94件発生(2月17日~4月22日)し、海外の発生頻度よりも高い。国立病院機構福岡病院(福岡市)の杉山晃子アレルギー科長に注意点を聞いた。 (吉田真紀)

 Q どんな症状か。

 A 皮膚粘膜症状(じんましんや唇の腫れ)▽呼吸器症状(せきや息苦しさ)▽消化器症状(下痢や嘔吐(おうと))▽循環器症状(意識障害など)-のうち、二つ以上が同時に起こる状態を指す。接種直後から数時間以内、ほとんどの場合は30分以内に現れる。全国の医療機関から580件の報告があり、国際基準に照らし94件となった。ほぼ全例で軽快しているという。

 アナフィラキシーに、血圧低下や意識障害が伴う「アナフィラキシーショック」は命に関わる。原因はワクチンや抗生物質、食べ物、ハチの毒などがある。

 Q コロナワクチンでの発生頻度は。

 A 接種中のファイザー製は251万回の接種で94件発生し、100万回当たりでは37件。米国の報告では同4・7件。インフルエンザワクチン(同1・3件)と比べても頻度は高い。日本では接種した人の多くが医療従事者で、性別も年代も偏っている可能性があって単純比較は難しい。検証はこれからだ。

 Q 94件中85件は女性。女性に起こりやすいのか。

 A なぜ女性が多いのかは分かっていないが、ワクチンの成分、ポリエチレンリコール(PEG)が原因の一つとして疑われている。PEGは化粧品やシャンプーに使われている。医薬品に用いられるときはマクロゴールと呼ばれ、軟こうや座薬のほか、内服薬に含まれていることもある。

 PEGを含む物を皮膚に繰り返し使うと、免疫が働いてアレルゲンとして認識し、体内で抗体が作られる場合がある。そうすると、ワクチンを接種してPEGを取り入れた際、全身性のアレルギーを起こす可能性も否定できない。PEGを含む物をよく使う傾向があるので、女性の方が多いと推察されている。

 月経周期でアレルギー症状が重くなるケースも診療現場でみられる。接種は体調が良いときが望ましい。

 Q 94人中、花粉症や食物・薬剤アレルギー、ぜんそくなどの疾患がある人は66人いた。

 A 日本人の2人に1人が何らかのアレルギー疾患があるといわれており、現時点で同疾患がある全ての人にリスクが高いとは言えない。現状ではアレルギー疾患がある人のほとんどは問題なく接種できている。

 ただ、ぜんそくの症状があるのに十分に治療していない人は、アナフィラキシーが起こったときに重症化する恐れが指摘されている。日本アレルギー学会は、過去に予防接種や薬剤で重篤なアレルギー症状が出た人に接種を慎重に判断するよう呼び掛けている。

 心配な人は事前にかかりつけ医に相談し、通常15分程度の経過観察を30分以上取ることも重要だ。

 Q アナフィラキシーを発症した際の処置は。

 A 即効性があるアドレナリンを太ももに注射する。下がった血圧を上げ、狭くなった気管支を広げる作用がある。注射後にいったん落ち着いても、数時間内に再び症状が出る場合があり、少なくとも翌日までは経過観察をすることが望ましい。

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