赤木ファイル 「森友」解明へ全面開示を

 この問題に決着をつけるときである。解明の機を逸してはならない。

 森友学園への破格の国有地売却問題で、決裁文書改ざんの経緯を記したとされる文書「赤木ファイル」の存在を、財務省がようやく認めた。民主主義の根幹を揺るがす前代未聞の不祥事の真相を明らかにするため、文書の全面開示が求められる。

 文書は、改ざんを強いられたとして自殺した元近畿財務局職員赤木俊夫さんが書き残した。同局と所管の財務省理財局が交わしたメールなども添えられ、改ざんの指示系統や過程が時系列で分かるという。

 赤木さんの妻が国側に損害賠償を求め大阪地裁に提訴した昨年3月、証拠提出を求めた。「探索中」としていた財務省は地裁が回答期限とした今月6日になり、その存在を認め、来月23日に提出する考えを示した。

 そもそも文書の存在確認に1年以上を要した理由が釈然としない。財務省は文書の特定に時間がかかったなどとしている。赤木ファイルが伝えられている通りの内容であれば、2018年に実施した省内調査でも重視すべきはずの文書である。

 そうした文書を探しもせず、目も通さずに調査を終えたのならば、調査の信頼性そのものを疑わざるを得ない。仮に存在を知りながら、調査結果に反映せず、隠していたのなら、国民に対する背信行為だと言える。

 財務省は早くも当該文書の一部を黒塗りで開示する考えを示している。容認できない。

 森友問題では、理財局長だった佐川宣寿氏が学園との価格交渉の記録について「廃棄した」と国会で虚偽答弁している。そうした経緯も踏まえれば、財務省の恣意(しい)的判断ではなく、原則全てを明らかにするべきだ。

 改ざんは、安倍晋三前首相が「私や妻が関係していたなら首相も国会議員も辞める」と国会で答弁した直後に始まった。

 財務省の調査報告は改ざんの目的を「国会審議が紛糾することを懸念した」などとした。公務員の本分に背く行為の動機としてはかなり薄弱だろう。改ざんに至る全体像をつまびらかにしない限り、この問題で指摘される政権と官僚との「支配と忖度(そんたく)」の実相には迫れない。再発防止もおぼつかないはずだ。

 赤木ファイルの存在が確認された以上、国会の調査も仕切り直しが不可欠だ。今国会は延長しなければ6月16日までで、赤木ファイルが裁判所に提出される前に閉会する可能性もある。

 野党は会期中の国会提出を求めている。欺かれたのは国会であり、国民である。与党も国権の最高機関としての矜持(きょうじ)を共有して対応すべきだろう。

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