朝倉復興の願いと感謝、聖火に託し 高1つないだ「みんなの思い」

 2017年の九州豪雨で被災し、長期の避難生活を余儀なくされた福岡県朝倉市の高校1年、藤本真衣さん(15)は新型コロナウイルス禍で東京五輪の聖火を手に市内を駆けることができなかった。それでも平和台陸上競技場の点火式で、支えてくれた人たちへの感謝や復興への思いを込めて聖火をつないだ。

 同市松末(ますえ)地区で生まれ育った藤本さん。いつもとは雨の降り方が違うと感じた。17年7月5日、小学校から自宅に戻ると、道路は瞬く間に冠水。市外の祖父母宅に母親らと避難した。「もう住めなくなるなんて思いもしませんでした」。自宅に土砂や流木が押し寄せて全壊。写真アルバムなど思い出の品々も失った。

 心の支えになったのはバレーボール。「発災直後の光景を娘に見せたくなかった」という父母の後押しもあり、すぐに練習を再開。交流のあった県内外のチームから練習着やシューズが届いた。被災翌月に県大会で優勝。「多くの支えに勇気づけられ、笑顔になれました」

 市外のみなし仮設住宅での避難生活は約2年間に及び、一昨年、朝倉市の新居での暮らしが始まった。

 聖火ランナーとして市内を走ることが決まったが、新型コロナの感染が拡大。「こんな状況で走ってもいいのかな」。ためらいもあったが、走ると決めた。「支援してくれた人に感謝を伝え、被災した人を勇気づけたい」。しかし、実施4日前にリレー中止が決定。「走りたかった。でも今の状況では仕方がない」。そう言い聞かせた。

 迎えた点火式には、真っ白なシューズを履いて参加。前回の東京大会で聖火ランナーが履いたシューズの復刻版といい、バレー仲間を通じて靴メーカーから贈られた。朝倉市の最終走者として登壇して聖火を引き継ぐと、笑顔でトーチを掲げ、前走者とポーズを決めた。「多くの人たちの気持ちが込められている聖火に、私や朝倉市のみんなの思いものせられたと思います」 (横山太郎)

関連記事

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR