生活保護引き下げは「合憲」 福岡地裁判決、生存権の侵害認めず

 生活保護の基準額引き下げは生存権を保障する憲法に反するとして、福岡県内の受給者84人が国などに引き下げ処分の取り消しと1人10万円の慰謝料を求めた訴訟の判決が12日、福岡地裁であった。徳地淳裁判長は「国に裁量権の逸脱や乱用があるとは認められない」として請求を退け、生存権の侵害を認めなかった。原告側控訴する方針。

 原告側弁護団によると、同種訴訟は29都道府県で約900人が争っており、4件目の判決。大阪地裁が2月に処分を取り消した一方、名古屋地裁と札幌地裁は請求を棄却した。憲法違反ではないと言及したのは札幌地裁に続いて2件目。

 福岡訴訟の原告は県内7市町の40~90代の男女。判決によると、国は2013年8月~15年4月、独自の指標で算出した物価下落率を基に、生活保護費のうち食費や光熱費に充てる「生活扶助」の基準額を平均6・5%、最大で10%引き下げた。

 原告側は独自指標について、受給者の消費実態とかけ離れていると主張。08年を物価下落の起算点とした点も「特別に物価が高かった年で、そこからの比較はおかしい」と訴えていた。

 判決理由で徳地裁判長は「独自指標は理論的な根拠を欠くものとはいえず、著しく不適切とはいえない」と指摘。起算点については「08年以降のデフレ傾向により、一般国民との不均衡を是正するために行われ、相応の合理的な理由がある」として、原告側の主張を退けた。

 その上で、引き下げ後の生活水準が「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を定めた憲法25条に「違反する状態とは認められない」と結論付けた。

 判決後の記者会見で、原告側の高木健康弁護団長は「受給者の実態を踏まえない明らかにおかしい判決だ」と批判。原告の一人、中島久恵さん(75)=福岡市南区=は「私たちを人間として見ていない判決で、悔しく悲しい」と話した。

 厚生労働省は「生活扶助基準の改定が適法であると認められた」としている。(森亮輔)

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