福岡“禁酒令”嘆きと怒り 3度目緊急事態「今回は先が見えない」

 3度目の緊急事態宣言下に入った福岡県で12日、飲食店での酒の提供自粛という、かつてない“規制”が始まった。屋台や居酒屋の店主からは嘆きの声が上がり、酒類卸業者は途方に暮れた。プロ野球観戦でも酒の販売は控えられ、福岡市中心部では屋外飲酒による感染リスクをなくそうと公園に柵が設置された。

 福岡市・中洲地区にある清流公園。普段は屋台20軒が並ぶが、この日店を開けたのは「わっぜか」だけでノンアルコールビールを特別に仕入れた。店主の上赤鴻志郎さん(30)は「店を出すと赤字だが、屋台目当てで福岡に来る人の期待に応えたい」と話す。

 酒を提供して営業すれば、県から30万円以下の過料を科されることがある。上赤さんによると、最近の売り上げはコロナ禍以前の8分の1で、「酒なし」だとさらに落ち込むが、「歯を食いしばるしかない」。臨時休業した別の店主は「酒なしでは成り立たないし、要請を無視してまで営業はできない」とこぼした。

 中洲地区ではスナックなどの多くの店舗入り口に「臨時休業」の張り紙が張られ、酒の卸業者からも悲痛な声が上がる。客の99%が同市近郊の飲食店という卸業の50代の社長は「今回ばかりは先が見えない」と当惑した様子。この日の売り上げはコロナ禍前の9割減だった。県から支援金が出ることになったが「全く足りない。酒類販売業の救済をしっかりと考えてほしい」と声を絞り出した。

 カラオケ店にも休業が要請されており、県内に10店舗以上を構える「サウンドパーク」や「ビッグエコー」は臨時休業した。同市内でカラオケ店を経営する男性は、県からの協力金を評価しつつも「行政は要請を乱発しているが、この1年で何を学んだのか」と批判した。

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 午後6時からホークス戦が行われたペイペイドーム(同市中央区)。飲料入りタンクを背負う販売員は11日の50人から20人に減らし、ソフトドリンクのみを取り扱った。夫婦で訪れた後藤とし子さん(72)は「販売員のお姉さんと友達になることも楽しみだったのに」と残念そう。

 観客席では大声での応援を禁止し、グループ間を1席ずつ空けるなど感染対策が続けられている。幼子を連れていた緒方つばささん(23)は「外出を控えている中、ホークス観戦だけが楽しみだった。球団スタッフが感染予防を呼びかけてくれるので安心している」と話した。

 一方で中洲地区や福岡市・天神では酒の提供を続ける飲食店もちらほら。キャバクラ店の30代の店員は「女性従業員が他店に移籍しないよう営業するしかない」。ある居酒屋の店員は「(休業要請は)関係ない」と手を横に振った。

 天神地区の警固公園には、集団飲酒をなくすため柵(高さ1・2メートル)が設けられた。地元町内会の藤木敏一会長(71)は「公園の封鎖は残念だが、感染者が出れば元も子もない」と語った。しばらくは市職員が見回りを続けるという。 (高田佳典、井崎圭、大橋昂平、小笠原麻結)

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