「命の選別」恐れる現場…九州4県で病床ステージ4 若者の重症化増

 九州各県で新型コロナウイルスの専用病床が埋まりつつある。政府分科会の指標で病床使用率を見ると、福岡、長崎、大分、鹿児島の4県が最も深刻な「ステージ4」(爆発的感染拡大)の基準(50%以上)を超えた。変異株の影響で、若く基礎疾患がない人の重症化も増加。治療する人の優先順位を決める「命の選別」の恐れも出てくる。福岡県には12日に緊急事態宣言が発出されたが、医療関係者は「市民の危機意識が不足している」と指摘する。

 「これまでとは完全に局面が変わった。自分も家族も死ぬかもしれないという危機感を持ってほしい」。福岡赤十字病院(福岡市南区)の石丸敏之副院長(感染症内科)はこう訴えた。

 11日に専用病床を3床増やし24床にしたが、コロナ患者が次々搬送され12日に23床が埋まった。基礎疾患のない20代が気管挿管をして人工呼吸器を装着したり、ホテル療養患者が重症呼吸不全を起こし運び込まれたりしている。変異株の影響で、悪化するスピードや年代が明らかに変わった。

 重症化するまで入院できない状況も生じている。人工呼吸器を装着すると、回復まで1カ月以上かかり、回復患者を受け入れる「後方支援病院」への転院もままならない。石丸副院長は「人工呼吸器の数にも限りがあり、このままでは『命の選別』をせざるを得なくなる」と話す。

 久留米大病院(福岡県久留米市)では29床のうち26床が埋まり、11人は人工呼吸器を使う。来週中には39床に増やす予定だ。高須修副院長は「大学病院として通常医療も守らないといけない。ぎりぎりのところでやっている」と明かした。

 福岡大病院ECMO(エクモ)センター(福岡市城南区)では、6床がほぼ満床の状態が続き、搬送を断るケースも出ている。

 病床使用率が62%の長崎県は、長崎市を中心とする地域で98・6%に達した。大分県では4月下旬以降、計51床増やし418床にしたものの、病床使用率は初めて50%を超えた。

 県医師会の河野幸治副会長は「(県全体の)病床使用率を見ると半分近く余裕があるが、患者が急増する地域の医療機関では、厳しい状況になりつつある」と指摘。「医療現場に負担がかかる状況は続いており、とにかく新規感染者を出さないことが大事。慎重な行動をお願いしたい」と訴えている。 (斉藤幸奈、下崎千加、吉村次郎、金沢皓介)

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