【動画】新しい街に学生街のぬくもり再生 元銭湯保存へ活動始動

 昭和初めに創業し、九州大箱崎キャンパスと共に歴史を刻んだ元銭湯「大学湯」(福岡市東区箱崎3丁目)。2012年の閉鎖後も当時のまま残る建物を修復するための募金活動が13日、スタートした。箱崎地区では、九大跡地利用に向け今秋にも事業者公募が始まるなど、新しい街づくりが動きだしている。そんな中、「学生街の記憶も大事にしたい」と願う有志らが、地域交流の場として大学湯の再生に乗り出す。

 大学湯は1932(昭和7)年、九大そばの学生街に石井フミさん(2007年、96歳で死去)が夫婦で創業。夫の出征、戦死後はフミさんが4人の子を育てながら切り盛りした。下宿学生や周辺住民のほか、大相撲九州場所が近づくと巡業の力士たちも通った。

 フミさんの孫、石田健さん(66)=東京都在住=は子どもの頃、母方の実家である大学湯にたびたび来ては、開業前の一番湯に入れてもらったという。釜たき職人が湯を沸かすボイラー室の熱気、積み上げられた石炭ボタ…。当時の記憶は今も鮮明だ。

 銭湯の姿を残したまま再活用できないか。石田さんは古い建物の保存活用を手がける福岡市の不動産業「福岡R不動産」に相談。同社の長谷川繁さん(42)は廃業前の大学湯を訪れたことがあり、平成の世になっても「ただの銭湯ではなく、地域の社交場」として住民たちに親しまれていることに驚いた。18年暮れ、建物の活用策を探る住民参加型イベントを開いた。

 イベントに参加した抽象画家の銀ソーダさん(26)は幼い頃、祖母や母と大学湯に通った。人々の疲れをさらい、タイルを流れる湯を眺めているのが好きだった。青を基調に色を塗り重ねる作品の原点は、大学湯の風景だ。昨年、大学湯で作品展を開いたところ、住民や元学生が訪ねて来ては思い出話が尽きなかった。

 石田さんは大学湯を存続、管理するために一般社団法人「DGY」を設立。自己資金では足りない補修費600万円を、6月20日までインターネット上の募金「クラウドファンディング」(CF)で集める。

 5月20~23日、6月1~5日午前11時~午後6時は、大学湯の内部を公開する。CFの申し込みは、https://camp-fire.jp/projects/view/413185から。 (今井知可子)

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