ガザ武力衝突 事態収拾に米国は行動を

 中東のイスラエルとパレスチナの対立が激化し、大規模な武力衝突となった。度重なる報復攻撃で多数の犠牲者が出ている。即刻、攻撃の停止を双方に求めたい。

 今月10日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエル側にロケット弾を撃ち込んだ。イスラム教徒のラマダン(断食月)が始まった4月中旬以降、聖地エルサレムでパレスチナ人とイスラエル治安部隊の衝突が続き、この日、パレスチナ人が多数負傷したため、報復に出たのだ。

 これにイスラエル軍が反撃してガザを空爆、戦闘は激しさを増し、既に死者は100人を上回っている。2014年にイスラエル軍がガザへ侵攻し、2千人以上の死者を出した大規模戦闘以降、最悪の被害という。全面戦争を危ぶむ声も出ている。

 これまで70年以上もの間、激しく争い続ける当事者同士が話し合いで戦闘を終わらせるのは極めて困難だ。国際社会の働き掛けが欠かせない局面である。

 国連のグテレス事務総長は和平を仲介するため、米国、ロシア、欧州連合(EU)との4者会合の開催を呼び掛けた。

 国連安全保障理事会は対応を協議しているが、攻撃停止を求める声明の発出には至っていない。イスラエルを擁護する米国が「緊張緩和に寄与しない」と反対しているためだ。

 そもそも今回の武力衝突の背景には、米国の中東政策の変化がある。トランプ前大統領はイスラエルに露骨な肩入れを続けた。イスラエルの主張通りにエルサレムを首都と認めたほか、イランに対抗するため、かつてパレスチナを支援したアラブ諸国とイスラエルの国交正常化も促進した。この結果、パレスチナの人々は孤立し、反イスラエル感情が高まった。

 バイデン大統領は当初、パレスチナ国家樹立を認める「2国家共存」の支持を表明し、パレスチナ難民への支援を再開するなど政策転換を強調していた。

 だが今回、消極的なのは、外交の重点を中国に置き、中東ではイラン核合意の再建を優先したいからだろう。だからといって安保理で歩調を合わせないのは、自身が掲げる「多国間主義」に反するのではないか。

 特にガザはイスラエルに封鎖されて「天井のない監獄」と呼ばれ、人権侵害や生活の困窮は深刻だ。イスラエルに最も影響力を持つ米国こそ仲介役として事態の沈静化に動くべきだ。

 きょう15日はパレスチナ人にとって1948年のイスラエル建国で故郷を追われた記念日に当たり、緊張が高まる恐れもある。これ以上の戦火の拡大は何としても防がねばならない。

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