在日ミャンマー人「僕らも闘う」 抗議と支援の輪、福岡でも拡大

 ミャンマーでクーデターを起こした国軍が権力を掌握、市民への弾圧が強まる事態に、在日ミャンマー人の間で抗議や母国の負傷者らを支援する活動が広がっている。福岡市で抗議デモを呼び掛けた会社員アウン・ミャット・トウさん(27)は過去に軍が支配した時代を知る。「軍の支配はミャンマー人すべての未来、希望を殺す。私たちも日本から闘う」。固く誓う。

 福岡市博多区のJR吉塚駅に近い「吉塚市場リトルアジアマーケット」。その一角のお堂に、ミャンマーから持ち込まれた金色の釈迦(しゃか)像が安置されている。アウンさんは何度もひざまずき、手を合わせた。「暴力が止まりますように」。お堂は古里を思うミャンマー人の祈りの場でもある。

 軍政下の最大都市ヤンゴンで育った。老朽化が著しい小学校の木造の校舎。千人超の児童。2、3個しかないサッカーボールは継ぎはぎだらけ。「国家予算の多くが軍事に割かれ、教育に回らない。子どもが思いのまま勉強や運動に打ち込む環境がなかった」。太平洋戦争後も母国では軍事クーデターが繰り返され、軍政が続いた。

 2011年の民政移管後、教育環境や国民の暮らしは次第に改善、日本への留学生も増えた。日本文化に興味があったアウンさんも15年に来日。専門学校を卒業後、福岡市内の飲食チェーンに入社した。母国で日本食レストランを開業するという夢に向けて懸命に働く中、クーデターが発生。自由な経済活動が認められない軍政下では「未来が閉ざされる」。危機感を抱いた。

 メディアなどで知る母国の同胞の姿勢に感銘を受ける。激しい抗議、暴力には屈しない「不服従運動」…。下火になっても諦めはしない。

 「日本でも、何かできないか」。2月上旬に福岡市で企画した抗議デモには会員制交流サイト(SNS)などを通じて九州各地から300人以上のミャンマー人が集まった。「軍政を許すな」とのプラカードを掲げる参加者の列に「みんなが同じ危機感を持っている」と実感した。

 母国の家族は無事だが、これまでの弾圧による犠牲は750人を超す。ニュースが新たな犠牲を伝えるたび、心が引き裂かれそうになる。現在は友人らと負傷者の治療費、武力弾圧から避難する人々の生活費に充てる寄付金を集めている。

 知り合いの日本人が掛けてくれた「日本にいて良かったね」との言葉は思いやりだと分かってはいるが、複雑だ。「僕らもここで闘っている。それは日本の人たちにも分かってほしい」 (井崎圭)

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