“放置”された医療者ワクチン 配送手配役の業者さばけず

 新型コロナウイルスワクチンの医療従事者への接種が福岡県で滞っている。超低温冷凍庫のある拠点病院(基本型接種施設)から、医療従事者が接種を受ける中小規模の病院(連携型接種施設)への移送などを手配する県の委託業者がパンクしたためだ。拠点病院では大量のワクチンが眠ったままになっている。感染が拡大する中、医療従事者の4分の3が打てていない状況に、関係者から「接種計画が甘かったのではないか」との声も上がっている。

 医療従事者の接種は2月17日に全国でスタートした。ファイザー製は零下75度前後で保管し、2~8度の通常の冷蔵庫に移してから5日以内に接種しなくてはならないため、周到な段取りが求められる。

 福岡県は56病院を基本型に、618病院などを連携型に指定。県が業務委託した福岡市の広告代理店が地域の医療従事者の接種希望をまとめ、連携型と接種日程を調整し、基本型からの移送を手配する段取りだった。ところが2回目まで終えたのは7日現在、約5万2千人で、希望者約21万人の25%にすぎない。県によると、委託を受けた広告代理店の情報集約、手配業務が追い付かずワクチンの行き場が決まらないままになっているのが原因という。

 「みんな首を長くして待っているのに、大量のワクチンが放置されたまま『第4波』に入ってしまった。歯がゆく、情けない」。コロナ患者を受け入れている福岡市の拠点病院の医師が本紙「あなたの特命取材班」に訴えた。

 自身や同僚の接種は終えた。地元の中小病院やクリニックの医師や看護師、薬局の薬剤師、消防署の救急隊員用のワクチン約4千回分は、4月中旬から冷凍庫に保管されたまま。委託業者から一向に連絡がないため業を煮やし、電話をかけてもつながらないという。

 同市の別の拠点病院でも、4月上旬から中小病院向けの約7千回分を保管。連絡待ちの状態という。「医療機関のクラスター(感染者集団)を防ぐためにも一刻も早く打つ必要があるのだが」

 こうした状況を受けて県は10日、急きょ段取りを変更。委託業者ではなく連携型施設が、それぞれ地元の医療従事者の接種希望をまとめ、必要なワクチン量や接種日を委託業者にファクスで連絡し、移送してもらう手順に変えた。

 対応に追われているのは連携型施設だ。同県久留米市の中規模病院は13日、クリニックや薬局など約80カ所に片っ端から電話して希望を聞き取り、週末の22、23日に約400人に接種することに決めた。「ぎりぎりになって丸投げされた印象だ」と院長は憤る。

 平田泰彦福岡市医師会長は、高齢者の集団接種に携わるのに自身の接種ができていない医師もいるとして「今打っても抗体ができるのは5週間先。接種開始から3カ月たつのに今まで何をやっていたのか、県は検証してほしい」と求める。

 県の担当者は「接種希望の把握に想定以上に手間取り、業務が滞ったと業者から聞いている。こちらの事前準備が不足していたと言われても仕方がない。何とか5月末までに1回目を打てるようにしたい」と釈明している。 (下崎千加)

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