豪雨への警戒 「長い梅雨」にも備えよう

 九州が北部、南部とも平年より約3週間も早く梅雨入りしたとみられる。ただ梅雨明けは必ずしも早まらずに、平年通り7月中旬となる懸念もある。「長い梅雨」も想定し、豪雨災害へ備えたい。

 昨年7月の熊本県南部豪雨や2017年7月の九州豪雨はそれぞれ多数の犠牲者を出し、地域に甚大な被害をもたらした。こうした全国で近年相次ぐ豪雨災害の教訓を踏まえ、今国会では二つの法改正が実現した。

 まずは災害対策基本法の改正である。市町村が発令する「避難勧告」を廃し、より強い「避難指示」に一本化する。どちらの方が緊急性が高いのか分かりにくいとかねて批判があった。

 混乱もしがちな災害時はシンプルで理解しやすい言葉遣いが大切だ。住民の逃げ遅れを減らすため、周知を徹底したい。

 二つ目は、河川の上流から下流までの地域全体で水害を防ぐ「流域治水」を推進する関連法改正だ。浸水リスクの高い土地への住宅や高齢者施設の建設を許可制とする。対象は本流と支流の合流部など氾濫しやすい河川周辺の区域となる。都道府県知事が指定し、新築時に居室の高さや強度をチェックする。

 熊本県南部豪雨では球磨川沿いの高齢者施設が浸水した。こうした施設は地価の高い場所を避ける傾向があり、結果として浸水リスクを伴う土地に建設されるケースが少なくない。

 建設の可否だけでなく、適切な代替地の選定を支援することも重要だ。崖崩れや地震など各地域の災害リスクの知見は地元自治体に集まってきている。その蓄積を生かし、安全をより重視してほしい。

 流域治水関連の改正法は他にも、安全な場所への集団移転事業の強化や、雨水を地中に浸透させる緑地や田んぼの雨水をためる低地の保全も打ち出した。

 これまでの洪水対策は雨水をいかに海まで流すかという視点にとどまっていた。流域全体の取り組みをさらに進めたい。

 洪水は、河川規模の大小に関わりなく起こり得ることを忘れてはならない。九州豪雨では、1級水系の筑後川に流入する山間部の複数の支流が氾濫し、福岡県東峰村などに甚大な被害を与えた。中小河川での浸水想定区域の策定も急ぎたい。

 福岡市などいくつかの自治体では河川下流域での雨水貯蔵施設整備といった対策が進んでいる。一方で行政の施策には限界があり、それだけに頼るというわけにはいかない。

 個人でも常に災害時に避難する場所と経路を確認しておきたい。水害では建物上階に逃げる「垂直避難」も有効だ。安全は自ら守る意識を保ちたい。

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