緊急事態1週間 それでも酒の提供を続ける理由

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、福岡県に3度目の緊急事態宣言が出てから18日で1週間。期間中、飲食店には事実上の“禁酒令”が出されている。大半の店が休業や酒類なしの営業で乗り切ろうとしているが、酒の提供を続ける店もある。苦しい環境の下、それぞれの判断をした飲食店関係者に胸の内を聞いた。

 18日夜、飲食店や衣料品店が並ぶ福岡市中央区の大名地区。ほとんどの飲食店のシャッターが閉まっていたが、県が要請する閉店時間の午後8時以降も営業を続ける店が複数あった。レストラン「ニア・バイ・オトナリ」の徳山圭店長(35)は「従業員を守るため通常営業を選んだ」と話す。

 昨年5月、コロナ禍で勤務先の飲食店が閉店した。マイホームを購入したばかりで、妻のおなかには第2子がいた。ピザ宅配のアルバイトをしたが、収入は激減した。「将来に不安しかなかった」。現在勤めるレストランの経営者に出会い、運良く再就職できた。

 今回は徳山さん自ら経営者に通常営業を頼んだ。深夜まで店を開け、アルコールも出す。協力金には頼らず、行政からの過料も覚悟の上だ。何より、休業すればアルバイト従業員の収入がなくなる。「仲間に自分と同じような思いをさせたくない」

「企業は社員の出社減らしているのか」

 福岡、北九州両市で通常営業するバーの男性経営者は「飲食店だけが問題なのか」と疑問視する。ソフトバンク子会社「アグープ」のデータによると、天神地区の日曜日の人出を宣言前後で比べると、昨年4月は30%超減ったが、今回は約4%減にとどまる。

 店は平日でもほぼ満席になる。「電車は満員。企業が社員の出社を減らしているとは思えない。飲食店だけ罰則付きで制限するのはおかしい」。営業継続は、国の施策や社会への反発もある。

 ただ、県によると9割以上の店が休業したり、酒なしの営業に取り組んだりしている。

 九州最大の繁華街、福岡市・中洲のラーメン居酒屋「ホウテン食堂」は、ノンアルコールのビールサーバーを導入した。伊東信介店長(38)は「少しでも飲んだ雰囲気を感じてもらいたい」。それでも、客足は宣言前の3割以下、利益の大きい酒類が出せない中、売上高は大幅に落ちる。「感染収束が第一。今はルールの範囲でできることをやっていくしかない」。休業・営業時間短縮の要請に応じている飲食店関係者のもどかしさをこう代弁した。

 (高田佳典、井崎圭)

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