落ち込むGDP ワクチンは景気にも効く

 新型コロナ禍で落ち込んだ日本経済の足取りが重い。感染拡大への対策が現状では、経済活動を抑制する緊急事態宣言などに頼らざるを得ないためだ。

 日本が経済のブレーキを踏んでいる間に、海外では対策の切り札とされるワクチンの接種が加速した。先行する米英では外出時のマスク着用が緩和され、社会経済活動が正常化に向かいつつある。日本も出遅れたワクチンの確保と接種を急ぐことが景気対策としても最優先だ。

 日本経済が被った打撃は大きい。内閣府が発表した2020年度の実質国内総生産(GDP)は4・6%減で、下落幅はリーマン・ショックがあった08年度の3・6%減を上回った。戦後最悪の落ち込みである。

 原因ははっきりしている。昨春以降の緊急事態宣言などによる各種の自粛で、個人消費が大きく落ち込んだためだ。企業の設備投資もマイナスだった。

 直近の21年1~3月期の実質GDPは年率換算で5・1%減だった。これも、年明けに発令された2度目の緊急事態宣言などの影響が大きい。特に旅行、宿泊、外食などのサービス消費の冷え込みが深刻だ。

 政府は「意図的に経済を止めたので当然」(西村康稔経済再生担当相)と静観する。ただ、福岡県など9都道府県に対象が拡大された3度目の緊急事態宣言が6月以降も延長されるようなら、4~6月期もマイナス成長が続く恐れもある。

 加えて、コロナ禍を受けて政府が昨年打ち出した中小企業や個人事業者向けの支援が縮小されているのも気になる。

 売り上げが落ち込んだ事業者向けの持続化給付金や家賃支援給付金の申請受け付けは2月で終わった。営業時間の短縮要請に応じた飲食店への支援や、雇用調整助成金の特例措置だけでは不十分だろう。資金繰りの支援に加え、給付金の再開を含む手厚い支援策も検討すべきだ。

 活動自粛が不要になれば、菅義偉首相が力を入れる需要喚起策「Go To キャンペーン」を再開し、宿泊や外食の後押しも可能になる。首相が打ち出したワクチンの「1日100万回接種」を早期に実現し、経済のアクセルを踏める環境を早急に整えねばならない。

 米国はバイデン政権の巨額の追加対策が奏功し、実質GDPはコロナ前の水準にほぼ回復した。中国は経済成長を続ける。

 国際通貨基金(IMF)は21年の世界全体の成長率予測を6・0%に上方修正した。データがある1980年以降では最も高い数字で、ワクチン効果で「V字回復」のシナリオを描く。日本もこの流れに取り残されないようにしたい。

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