遠のく党首討論 国民に語る言葉ないのか

 与野党の党首同士が政策を戦わせ、国会審議を活性化する。そのために始まった党首討論が2年近くも開かれていない。

 安全保障や少子高齢化など、この国を取り巻く状況は厳しさを増し、新型コロナ禍も加わった今、国民には与野党のリーダーから聞きたいことは山のようにあるはずだ。政治家の側にも語るべき言葉があろう。

 今国会も会期末が来月16日に迫った。充実した党首討論の開催を与野党に求めたい。

 党首討論は英国議会をモデルに2000年に導入された。同年は8回、06年までは年4~7回が開かれた。以後は年2回ほどに減り、17年はついに1回も開催されなかった。直近は19年6月に1回あっただけだ。

 背景には野党の多極化で各党の持ち時間が細切れとなり、議論が深まらないことがある。

 討論1回当たりの時間は45分だ。まるまる自民党総裁である首相と旧民主党代表の討論に充てた時期もある。野党5党が討論に立った18年は最長でも15分で、野党はより時間がかけられる予算委員会への首相出席を求める傾向が強まっている。

 近年は政策より政権側の不祥事などが取り上げられがちで、言いっ放しのかみ合わない議論に終始する場面も目立つ。

 象徴的だったのが、森友・加計(かけ)学園問題の渦中にあった18年の党首討論だ。立憲民主党の枝野幸男代表が終了後、安倍晋三前首相の答弁姿勢を批判して「党首討論の歴史的使命は終わった」と発言し、翌月の討論で一方的に政権批判をまくし立てると、安倍氏が「本当に歴史的使命が終わってしまったなと思った」と言い返すに至った。

 そもそも党首討論の導入時に与野党は「国会会期中、週1回」の開催で合意している。それが有名無実化したのは、同じ週に首相が出席する衆参の本会議や委員会がある場合は開かないとの申し合わせもあるためだ。

 ただ過去67回の討論のうち3分の2近くはこうしたケースに当たる。開こうと思えば開けるわけだ。質問時間にしても野党間で融通し合った例もある。要はひとえにやる気の問題だ。

 最近の「言論の府」の機能低下は目を覆うばかりだ。尋ねられたことに正面から答えない答弁がまかり通る。こうした現状を是認するわけにはいかない。

 党首討論は他の質疑と違い、首相から逆質問もできる。自民党の政権復帰につながった12年の衆院解散は党首討論で流れができた。政治状況を大きく動かす起点にもなり得る。

 課題山積の国会の審議に緊張感を取り戻すためにも、党首同士の大所高所からの真剣勝負を恒常化しなければならない。

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