災害対応に非正規公務員の動員増加 待遇改善は置き去り

 避難所運営などの災害対応に非正規公務員も動員する地方自治体が出始めている。非正規の割合が比較的高い九州7県の63市町村を取材したところ、6市町が非正規を対応要員に加え、2市が動員を検討中・検討予定で、21市町村も「災害の規模次第で要員になりうる」と回答した。非正規は庁内事務などに業務が限定されてきたが、正職員の削減や災害の激甚化で動員せざるを得ない状況という。だが、不安定な身分のままでの災害対応は負担感が強く、専門家は「待遇改善は必須だ」としている。

「正職員だけでは足りない」

 総務省の資料を基に、一般事務を担う非正規の「会計年度任用職員」が「一般行政部門」(教育委員会事務局など除く)で約20%以上を占める63市町村(昨年4月時点)を抽出して、取材した。

 災害規模などに応じて任用職員も対応に充てる6市町は、福岡県大牟田市、大野城市、広川町(看護職など専任職中心)、佐賀県武雄市、鹿児島県伊仙町、天城町。

 大牟田市は「正職員だけでは足りない」として、昨年度から任用職員にも災害対応を任せる。昨年7月の豪雨ではパートタイムの任用職員らが避難所運営などで正職員を補助した。

 「一般行政」の3割が任用職員の武雄市も本年度、同意を得た20~30人を対応要員に加えた。大分県別府市は2016年の熊本地震を教訓に任用職員を要員として地域防災計画に組み込めないか検討を進める。

労働条件に災害対応記されず

 非正規でありながらも災害対応の重責を負うことに戸惑いの声が上がる。ある自治体の任用職員の女性は豪雨災害で避難所運営などを手伝うよう指示された。約1カ月間、休日返上で避難所の受け付けや被災施設の片付けに奔走。同じ非正規の同僚も深夜まで働いていた。「新型コロナウイルスにも注意を払い神経をすり減らした」という。

 本来の仕事は庁内事務などで、職務を示す「労働条件通知書」に災害対応は記されていない。日頃、正職員と業務の裁量の差は大きく、収入や雇用継続の不安も抱える。それでも災害時は「職員だから」と当然のように動員され、不公平に感じる。

 任用職員であっても災害対応に伴う残業は手当の対象になり、けがをすれば地方公務員災害補償法などに基づく補償を受けられる。だが、別の自治体で働く50代女性は「普段から残業は申告しづらいし、公務で移動中の事故の費用弁償も嫌がられる。十分対応してくれないだろう」。

総務省「自治体の判断」

 命の危険にさらされる懸念もある。東日本大震災で被災した岩手県内では非正規職員42人が避難誘導など公務中に亡くなったと認められた。東北の被災地では、ヘルメットなどの用具で非正規用が確保されず、安全配慮が不十分だったとの指摘もある。

 自治体も手探り状態で「非正規にどの程度仕事を任せていいのか国は指針を示してほしい」との意見もあるが、総務省は「どの業務を任せるかはあくまで自治体の判断だ」としている。

(大坪拓也)

非正規はあくまで限られた職務

 地方自治総合研究所の上林陽治研究員の話 公務員の報酬は正規は身分に対し、非正規はあくまで限られた職務に対して支払われ、公務員としての性質や役割が根本的に異なる。災害要員にするなら正職員化や待遇改善は必須だ。市民に向き合う窓口業務が非正規化し、非常時も頼る構図があると思う。会計年度任用職員は地方公務員法が適用されるため、「正規と同じで何でも担わせる」という誤った考えが広まらないか懸念する。

 非正規公務員 自治体ごとで任用の仕方が異なっていた非正規職員の大半が、2020年度から地方公務員法が適用される「会計年度任用職員」に移行した。服務規定の適用対象になる一方で、期末手当も受給できるようになったが、フルタイム勤務の平均年収は200万円前後で、正規の3分の1以下という試算もある。任用職員は全国に約62万人で、その8割が女性。

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