変容する溶岩ドーム、新たな脅威 普賢岳・大火砕流30年

 43人が犠牲となった雲仙・普賢岳(長崎県)の大火砕流は6月3日で発生から30年。噴火活動で山頂に形成された溶岩ドーム(平成新山、標高1483メートル)は、その重みもあって年間数センチのペースで緩やかに動き、風雨で深く刻まれた浸食谷(ガリー)がドームの安定を脅かす。終息を経てもなお「変容」を重ね、新たな「脅威」を生み出す山への懸念は尽きず、地元や専門家は警戒を続ける。

 198年ぶりとなった一連の活動は「平成噴火」と呼ばれる。噴き出した火山灰や溶岩の総量は約2億立方メートル。高温で粘り気の強い噴出物はドームを形作っては崩れ、火山ガスを放出しながら流れ下った。当時、恐れられたのは火砕流だった。

 溶岩ドームは約1億立方メートル(ペイペイドーム53杯分)。1997年の観測開始以来、現在も24時間で警戒に当たる国土交通省雲仙砂防管理センター(同県島原市)によると、これまで東南東(有明海の方向)に1・36メートルずり落ちるように移動しているという。

 ドームは冷えて固まっており、新たなマグマの供給も確認されていないため火砕流の心配はない。だが一方で、直下型の地震などで崩壊すれば岩屑(がんせつ)なだれが起きる可能性がある。わずか7分で8キロ先の有明海に達し、500世帯に被害を及ぼすとの見方もある。

 さらにここにきて新たな崩壊の“引き金”が生まれた。年月を経て、ドーム基部に至るまで発達したガリーだ。特に顕著なのが「炭酸谷」と「極楽谷」。2020年にドームの3カ所で確認された小規模崩壊(推定計2300立方メートル)のうち、2カ所は炭酸谷と極楽谷の最上部でそれぞれ発生。噴火による堆積物で埋まる谷筋がこの30年の風雨で削られ、深さ約30~40メートルに発達した。浸食が進めばドームを根元から揺るがす危険性があるものの、現時点で有効な防止策は見当たらないという。

 加えて、削り取られた堆積物そのものが土石流となる恐れがある。航空機によるレーザー測量などによると、19年12月~20年12月に炭酸谷から少なくとも約1万2千立方メートルの土砂が流れたとみられる。

 雲仙砂防管理センターは「山の監視、蓄積してきたデータの解析がこれまで以上に重要になる」と警戒。国や長崎県などでつくる雲仙岳火山防災協議会溶岩ドーム崩壊危険度判定分科会のメンバー、下川悦郎鹿児島大名誉教授(砂防工学)は特にガリーに着目しており「短期的にはともかく、中長期的にはガリーの成長と小崩落の繰り返しで不安定化する危険性も考えられる」と話している。

(真弓一夫)

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