武漢研究所説が再燃? バイデン政権が調査指示

 【ワシントン金子渡、北京・坂本信博】バイデン米大統領は26日、中国で最初に集団感染が確認された新型コロナウイルスの起源を巡る調査報告を90日以内にまとめるよう、米情報機関に指示した。情報機関は動物から人間への感染説のほか、中国のウイルス研究所から漏えいした可能性を指摘しており、漏えい説を否定する中国は「米国こそ(米国が起源との)疑念を晴らすべきだ」と猛反発。ウイルスの起源をめぐる米中の舌戦が再燃している。

 ウイルスの起源を巡っては、トランプ米前政権が中国湖北省武漢の研究所からの漏えい説を強く主張していたが、世界保健機関(WHO)は3月、武漢を訪れた国際調査団の報告書を公表し「極めて疑わしい」と否定。自然界から動物を介して人間に感染が広がったとみられると結論付けた。

 しかし、米紙ウォールストリート・ジャーナルは今月23日、米情報当局の情報として新型コロナの感染者が中国で初めて確認される直前の2019年11月、同研究所の研究員3人が新型コロナに似た症状で入院していたと報道。ホワイトハウスや専門家から再調査を求める声が相次いだ。

 漏えい説に否定的だった米政権の医療顧問トップ、ファウチ氏も今月11日のシンポジウムで「ウイルスが動物を通じて人に感染したという調査結果があるが、別の可能性もある」と述べ、調査の継続を求めた。

 米情報機関は5月に新型コロナの起源に関する調査報告書を提出。バイデン氏は声明で、情報機関内で二つの説を巡り見解が分かれ、現時点で「決定的な結論には至っていない」と言及し、追加報告を求めた。

 情報機関への指示には、中国側への具体的な質問も含まれ「米国は友好国と連携し、全ての関連データと証拠の提供に応じるよう中国に求める」と強調。24日に始まったWHO総会でも再調査を呼び掛けており、国際社会で対中圧力を強める狙いがある。

 これに対し、中国外務省の趙立堅副報道局長は27日の記者会見で「中国の研究所からの流出はあり得ないことが、WHOの報告書で結論付けられている。米国は政治的にもてあそび、責任を押し付けている」と米側を非難。イラク戦争の開戦理由となった大量破壊兵器が存在しなかったことを引き合いに「米情報機関の黒歴史は世界に知られている」と一蹴した。

 中国側は19年12月8日に武漢で新型コロナ感染症の「初症例」を確認したとして、それ以前に研究所がコロナと接したことはなく、感染者は一人も出ていないと主張。一方、米国の生物兵器研究が起源との見方を示すなど、米国に調査受け入れを求めている。

関連記事

PR

開催中

黒の扉

  • 2021年12月2日(木) 〜 2021年12月7日(火)
  • 福岡アジア美術館7階企画ギャラリーB

PR