出勤ラッシュいつも通り「在宅、評価に響きそう」「マスクで大丈夫」

 国は緊急事態宣言中、企業に対して在宅勤務など「テレワーク」の推進で出勤者数の7割削減を求めている。だが福岡市・天神ではいつも通りの出勤ラッシュが見られ、思うように進んでいない。

 九州電力(福岡市)は在宅勤務で必要な社内向けのネットワークを増強し、在宅をする際に社員に求めていた紙での申請もやめた。申請者と承認者の双方の印鑑が必要な仕組みだった。

 さらに今月25日からは自社ホームページ上で出勤削減率の公表をスタート。「覚悟の証し」だが、4月下旬~5月中旬の実績は3割にとどまった。広報担当者は「呼び掛けを強化している」と話す。

 それでも目標を掲げて取り組んでいるのは「まだ良い方」とも言える。帝国データバンク福岡支店の4月の調査では、何も取り組んでいない実施ゼロの企業は九州・沖縄(回答857社)で7割超に達したという。

 福岡市で不動産会社を経営する50代男性は、昨年4月に緊急事態宣言が出された際に導入したテレワークを今年に入って取りやめた。「長いコロナ禍で危機感が薄れた面はある。多くの企業がそうじゃないか」。そう正直に思いを語る。

 マスクを着け、手指の消毒をしっかりしていれば大丈夫、と考える別の経営者は「これまで社員に感染者は出ていない」と言い切る。今後さらに強力な変異株が現れる可能性もあるが、危機感は薄いようだ。

 たとえ企業側が取り組んだとしても、実現できるかどうかは社員側の意識や事情にもよる。金融機関に勤める30代男性は「他の人が出社しているのに自分だけ在宅だと、評価に響くのでは、と思ってしまう」と打ち明けた。他にも現実的な問題として「自宅のネット環境が整っていない」(不動産会社勤務)、「顧客が対面の打ち合わせを希望する」(コンサルタント会社勤務)といった声もある。

 工場や建設現場など、どう考えてもテレワークが不可能と思われる仕事もあれば、かねて人手不足が深刻な業種や中小企業などは、対策にかけられる資金、人的余裕がないのが現実。7割の実現はまだまだ遠そうだ。 (井崎圭、飯村海遊、中西是登)

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