高校タブレット、九州で導入に差 「1人1台」費用ネックに

 高校の教育現場で、持ち運べるタブレット端末の「1人1台」配備にばらつきがみられる。小中学校は国のGIGAスクール構想で公費による配備をほぼ終えたが、公立高校は自治体の判断に委ねられている。一方、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて文部科学省は3月、各都道府県に公立高への配備を急ぐよう通知した。九州7県に聞くと、既に1人1台の配備にめどを付けた自治体がある一方、福岡県などは見通せず、対応が割れている。

 タブレットはタッチパネル式で、スマートフォンより大きな画面の機種だ。新型コロナ禍で遠隔授業が急きょ必要になることもあり、菅政権は昨年末に「整備推進」方針を閣議決定。文科省の通知はそれを踏まえたものだが、小中とは対照的に財源の手当ては自治体任せとなっている。西日本新聞は5月上旬から九州7県の教育委員会に取材し、配備の見通しを聞いた。

 教育のデジタル化に注力する佐賀県は2017年度、先行してタブレットの1人1台を九州で初めて実現。当初は保護者に求めた費用負担を、18年度から公費に切り替えた。端末は、課題のデータ提出や授業中の意見集約に活用する。新型コロナの流行で20年度は遠隔授業でも使った。

 遠隔授業の必要性が高まり、20年度から導入を進めてきた大分県は、今年3月末までに配備が完了した。長崎、熊本両県も21年度中に急いで整備を終える計画だ。いずれも、政府が新型コロナの緊急経済対策として創設した、用途の自由度がある「臨時交付金」を使っての公費負担だ。

 3県によると、1人1台の環境で義務教育を受けた子どもが入学する22年度に間に合わせ、タブレット授業を継続する狙いもある。

 他県も、公費によるタブレットの配備を段階的に進めてきた。20年度末までに福岡県22%(21年度までには42%)、宮崎県36%(パソコンを含む)、鹿児島県55%。新型コロナの感染拡大以前に文科省が示した計画に沿い、パソコンを含むICT(情報通信技術)端末について「3クラスに1クラス(配備率33%)程度」を目標としてきた。

 一方、文科省の3月通知は遠隔授業に対応できるタブレットに絞り、さらに導入加速を促す内容だった。

 通知を受け、宮崎県は1人1台配備の方針を決めたものの、費用負担の在り方や配備時期は未定。福岡、鹿児島両県は方針自体を決めていない。

 背景には多額の費用負担がある。本年度までの7県の配備(予算措置を含む)をみると、1台当たりの費用は、4万~9万円台。

 人口が多い福岡県は「新たなタブレットの購入は保護者にも、公費でも負担が重い」と説明。まずは、生徒個人や家庭が保有するスマホと配備タブレットを併用する独自の1人1台を目指す。ただ、スマホは画面が小さく、文科省が示す基準に達しないという課題がある。

 初期導入にめどを付けても、老朽化した機種変更時の費用負担が次の課題だ。

 厳しい財政状況から熊本県はもともと、保護者負担も念頭にタブレット導入を検討していた。新型コロナの臨時交付金を活用した公費負担で発進したが、「買い替え時の負担の在り方は未定だ」と課題に挙げる。

 文科省は「ICT環境の整備は急務で、自治体への働き掛けを続けたい。各自治体は優先度を考え、対応してほしい」としている。

(水山真人、小笠原麻結、大橋昂平)

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