「いたちごっこ続く」規制強化も解決遠く 海賊版「今も利用」の声も

 人気漫画やアニメを無断公開するインターネット上の海賊版サイトは、国内最大規模だった「漫画村」(現在は閉鎖)をきっかけに社会問題化し、今なお影を落とす。西日本新聞「あなたの特命取材班」は、無料通信アプリLINE(ライン)でつながる「あな特通信員」に海賊版サイトの利用経験や意見を聞くアンケートを行った。海賊版への否定的な意見が大多数を占める一方で「現在も利用している」との声も。国は著作権法の改正で規制を強めるが「いたちごっこは続く」「著作権を周知する教育が必要だ」との声が相次いだ。(梅沢平)

 アンケートは5月11~24日に実施。回答を寄せた792人のうち「利用したことがある」としたのは全体の1割強にとどまるが、30代以下の4割弱を占めた。「悪いことだと分かって読んでいた」とする福岡県大牟田市のパート女性(42)は「出版社の区別なく読めるのは海賊版サイトだけ。試し読みして面白かった漫画は単行本で集めている」。海賊版を1年以上利用しているという同県出身の男子大学生(19)=東京都=は「漫画の発売日が遅かったり、アニメが放送されなかったり、東京と地方では格差がある」として、地域差が解消されなければ「海賊版利用者は後を絶たない」と訴える。

 海賊版を利用するきっかけは、友人から教えてもらったり、たまたま接続したりした人が大半。社会問題になったことで「ニュースで知り、興味本位で調べた」(福岡市の37歳女性会社員)という人もいた。

 利用経験者の7割は、利用回数を「1回だけ」「数回程度」と回答した。利用をやめた理由に、漫画アプリや動画配信サービスなどの充実を挙げた。一方で、2割は「現在も利用している」。茨城県牛久市の男子高校生(15)は「良くないと分かっていますが、やはり無料なので見てしまう」とする。

 昨年10月に施行された改正著作権法は海賊版に誘導するリンクやURLを載せた「リーチサイト」を処罰対象とするなど、規制が強化された。一方で、700以上確認されている海賊版のアクセス数は、業界団体の調べで毎月過去最悪を更新している。コロナ禍の巣ごもり利用の増加に加え、ベトナムなど海外拠点のサイトも登場し、解決が見通せない状況だ。

 東京都杉並区の男性公務員(28)は「海賊版は法の目をかいくぐって生き延びる。出版社などが利便性を上げないと、いたちごっこは永遠になくならない」。福岡市の自営業の女性(49)は「多くは海外を経由するため、日本の法律では歯がゆい思いをせねばならないのではないか」と危ぶむ。

 規制を巡ってはほかにも「著作権保護専従の捜査機関が必要」(名古屋市の60歳男性会社員)▽「人気は手に入れやすさから生まれるもの。規制強化は構わないが、世界的な人気が間違いなく衰退する」(40歳、住所・性別不明)▽「出版社の売り方に問題はないのか。海賊版だけ悪者にするのは本質的な問題から目をそらせてしまう」(台湾の36歳女性漫画家)-などの声があった。

 今年1月施行の改正著作権法ではさらに、利用者が海賊版と知りながら漫画などをダウンロードする行為も違法になった。「禁じるのは当然のこと」との受け止めが多いが、熊本市の女性会社員(38)は「どこまでが駄目なのか、判断がつきにくくなっていると感じる。結局グレーゾーンが存在し続けるのでは」と疑問を呈す。

 海賊版の広がりによって、作り手が正当な評価を得られなくなるのではないか-。危機感を募らせる回答者は多い。名古屋市の主婦(45)はこう意見を寄せた。「いい作品を生み出しても利益が上がらない社会になれば、多くのクリエーターやその卵が夢を諦め、文化が廃れてしまう」

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 このアンケートは、あな特通信員を対象にした調査です。多様な方々の生の声を聞き取るのが目的で、無作為抽出で民意を把握する世論調査とは異なります。

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