歯切れ悪くのどごし重視!? 首相が麺類ランチを好む訳

 東京ウオッチ

 最近、菅義偉首相のランチが話題になっている。首相動静を見てみると、連日のように閣僚らと食べている。「情報が入らなくなっているから」「首相は孤独だから」との臆測を呼んでいるが、それはさて置き、気になるのがメニューだ。なぜか、そばやラーメンといった麺類が多い。新型コロナウイルス対策に追われる首相だけに、つるっと食事を終えて「本題」に入りたいということなのか。一国のトップの知られざるランチ事情を探った。

 2日昼。首相は官邸で、公明党の山口那津男代表と昼食を共にした。メニューはうどん。今国会の会期末が迫り、ワクチン接種や東京五輪・パラリンピックについて意見を交わした。会談後、山口氏は周囲に「とても細いうどんで、食べやすかった」と満足そうに語った。

 3日は井上信治科学技術担当相としょうゆラーメンをすすり、5月27日には赤羽一嘉国土交通相と肉南蛮そば、26日には野上浩太郎農相と塩ラーメンを食べた。5月以降の閣僚とのランチは計9回。同席者の話を総合すると、弁当が出てきたこともあったが、やはり麺類が多いという。

「スピード重視」はだてじゃない

 そもそも首相は麺が、お好きなのか?

 古参の首相秘書官に聞いてみると、意外な答えが見えてきた。「首相は食べる時間を惜しんで仕事のことを考えるタイプ。麺類なら手短に済むから効率的でしょ」。驚くことに、食べるスピードも速く、これまでの最短は7分だったとか。この秘書官も自然と早食いになったという。

 別の側近は、首相の好みについて「昼はそばが5割、残りもラーメンか、うどんで、ほぼ麺類だ」と明かす。それも官房長官時代からずっと同じという。

 首相の昼食は、官邸2階にある警備スタッフや許可を受けた報道陣も利用できる食堂で作られ、5階の首相の執務室があるフロアに運ばれている。官邸関係者によると、首相側が注文できるメニューはわれわれとは微妙に違うという。例えば、かけそば、もりそば(いずれも税込み430円)は共通だが、こちらのメニューにはラーメンはない。

 3日昼。記者は試しに、首相が好んで食べるというかけそばを注文した。だしは優しい味わいで、具材はネギ、三つ葉、のり、シイタケと極めてシンプル。比較的早食いの方ではあるが、熱々の汁まで飲み干すのに11分かかった。しかも、首相のかけそばには小鉢まで添えられているらしい。やはり首相の「スピード重視」はだてじゃない。

「スパゲティ?それは食べない」

 では、誰がオーダーしているのか-。秘書官の一人は「そこが謎なんだよ。総理が毎日注文しているとも思えないし…」と首をかしげる。ただし、麺類なら何でもいいというわけではないらしい。「スパゲティ? それは食べないよ」と一蹴された。

 麺類に飽きて、違うメニューが食べたくなりそうなものだが。たまにランチを共にする政府高官は「まさか。そんなことできませんよ」と目を泳がせた。とはいえ、来客中の首相に同席しないときは麺以外にありつけるとか。ある秘書官は「『やった! 今日は米が食べられる』とガッツポーズしたくなる」と顔をほころばせた。

 安倍晋三前首相時代の昼食は、肉などを使った定食が中心だった。菅首相の就任直後には同じく定食が提供されたが、2人前ほどのボリューム。首相が「こりゃさすがに多いな」とこぼして以降、麺類が“定番”になったとみる人たちも少なくない。

無類の肉好き、ダイエット説も

 ところが、効率的な時間の使い方とは別に、ダイエットのためとの見方もある。確かに1990年代当時の首相の写真と見比べてみると、今より1回りかっぷくが良いように見える。

 パンケーキなどの甘い物好きで知られる首相は、昨年9月の自民党総裁選の候補者討論会で「いまダイエットしていますから、寝る前には(何も)食べないようにしています」と打ち明けている。

 昨年12月の「ステーキ会食」で批判を受ける前までは、朝夕に秘書官や民間人らとの会食が日課だった。同席者によると、朝食は野菜ジュースとサラダのみ。72歳ながら「まるでダイエット中のOLみたいだ」の声もちらほら。朝晩それぞれ100回ずつの腹筋は今でも欠かさない。酒とも縁遠く、「(アルコールが少量入っている)奈良漬1枚でも酔う」(周辺)ほどの下戸だ。

 ヘルシー志向を絵に描いたような首相だが、本当は無類の肉好きという説もある。

 話は首相の若かりし頃にさかのぼる。首相は大学の学費をためるため、当時の築地市場内にあった牛丼チェーン「吉野家」の1号店でアルバイトにいそしんでいたという。ある秘書官は「官房長官時代も2年に1度ぐらいは国会内の吉野家で牛丼を食べていた。今でも無性に牛丼が食べたくなるみたい。そのうち首相動静に『吉野家で会食』と載るかもよ」と笑う。

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 ここまで来れば、お分かりでしょう。要は、麺が好きなことはもちろん、さまざまな事情が絡んで、首相のランチメニューは決まっているようだ。

 麺が伸びるのを許さないと言わんばかりに、一分一秒を惜しんでそばやラーメンを口に流し込んでいる首相だが、どうも記者会見や国会では煮え切らない答弁に終始している。

 緊急事態宣言の再延長を表明した5月28日の記者会見では「最後の延長になるか」と問われ、「今回は(感染対策とワクチン接種加速化の)二正面の対応で何としても封じ込めたい。このように思っています」と歯切れが悪かった。

 ここはビシっと、言い切ってほしかった。もうこれ以上、緊急事態宣言が、延びるのはごめんだ、と。(前田倫之)

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