車吹き飛ばした「火砕サージ」の破壊力 火山灰、熱風…雲仙岳災害記念館が調査

 1991年6月3日の長崎県雲仙・普賢岳の大火砕流で生じた火砕サージと呼ばれる火山灰や熱風が、重さ1・4トンの車を空中に浮かせて飛ばすほどの強い勢いだった可能性があることが雲仙岳災害記念館(長崎県島原市)の長井大輔・調査研究室長の調査で分かった。火砕流に巻き込まれ、今年2月に30年ぶりに掘り起こされた報道関係車両の被災状況を分析した。調査結果は6日、日本地球惑星科学連合の年次大会で発表される。

 火砕流は火口から出た溶岩や高温ガスなどが交じり、斜面を高速で流れ下る火山現象。溶岩塊などが凝集した本体部分と火砕サージで構成される。

 火砕流では、報道陣の取材拠点だった「定点」(島原市北上木場町)から、タクシー車両2台が北東に約60メートル移動していた。今年2月に掘り起こされた車両を長井さんが調べたところ、うち1台は電線がボンネットにぐるっと巻き付いた状態で見つかったという。

 定点から車の発見場所までの間では、同じく北東方向に2本の電柱(高さ約10メートル)がなぎ倒されているのが見つかっている。火砕サージにより、電線を引っかける形で車が吹き飛ばされたと推測されるという。

 また、車の下に残った火山堆積物の粒は直径2ミリ程度であるのに対し、車内や車の上で見つかった粒は1~0・5ミリ程度と大きさが異なることから、火砕サージに第1波と第2波があったことも判明。堆積物が細かく砕けるのには大きなエネルギーを要することから、第2波の方がより破壊力が大きく、車を飛ばしたとみられる。

 大火砕流では消防団員や警察官、報道関係者ら43人が犠牲になった。長井さんは「火砕流で起きていることの一端が分かった。今後の防災に生かしたい」と話す。

 (真弓一夫)

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