西九州新幹線、動かぬまま1年 国と佐賀県、フル規格巡り平行線続く

 西九州新幹線の佐賀県内区間となる新鳥栖-武雄温泉間の整備方式を巡り、国土交通省と同県が協議入りして5日で1年が経過した。これまで4回の協議を行ったが、フル規格での開業を主張する国交省と、財政負担の重さなどから反発する県の主張は平行線のままだ。5月末の協議では、県がフル規格のルートについて想定される佐賀駅経由以外の2案も検証するよう要望。佐賀県側からの働き掛けに国交省は「進展」と期待感を示すが、県は「フル規格にかじを切ったわけじゃない」とくぎを刺す。県の真意とは-。

 「真ん中(佐賀駅経由)一つではなくて、北(佐賀市北部経由)と南(佐賀空港経由)についても比較検討していただく必要がある」。5月31日のオンライン協議で、県の山下宗人・地域交流部長は切り出した。国交省の足立基成・幹線鉄道課長は「どのような数字、形で示せるか検証して協議できるように準備したい」と応じた。

 国交省は昨年10月、スーパー特急フリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)▽武雄温泉駅での対面乗り換え▽ミニ新幹線▽フル規格-の5方式の時間短縮効果などを比較した上で「フル規格が最も整備効果がある」と説明。県は財政負担や在来線の利便性低下を理由に同意せず、そのまま7カ月が経過した。

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 県が今回提案したルートの検証はどんな意味を持つのか。1985年に旧国鉄が公表した佐賀駅経由は、与党やJR九州が推している。交通の結節点として需要が高く、フル規格案のベースとなってきた。

 一方、県議会では別ルートの議論があった。武雄温泉駅から福岡県南部に接続する佐賀空港経由は、空港の機能強化が利点。長崎自動車道沿いの佐賀市北部経由では、物流拠点として貨物ターミナルを造成する意見もある。

 山下氏は佐賀県議会の議論に触れた上でルートについて「新幹線が県民の幸せや地域の発展にどうつながるか、長期的な視点で議論すべきだ」と話した。県幹部は「事業費の試算などではなく、佐賀県にフル規格を考えてもいいと思わせるような夢を語ってほしい」と要望の狙いを明かす。

 赤羽一嘉国交相は今月1日の記者会見で「提案は特筆すべきこと」と歓迎。国交省関係者も「出口は見通せないが、ルートの検証はフル規格の協議の入り口になる」と前向きに受け止める。国交省は佐賀県の協議とは別に、JR九州や長崎県とも並行在来線の扱いなどについて意見交換を進めていく考えだ。

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 ただ、フル規格に対する佐賀県の警戒心は依然強いのが実情だ。フル規格の整備方針を決めた与党検討委員会は、同県の財政負担軽減策を検討するとしているが、山口祥義知事は記者会見で「今向き合っているのは幅広い協議だ」と述べ、検討委の動きに「フル規格前提にしか思えない」と不快感を示す。

 県は「幅広い協議」がフル規格の議論だけになることを懸念。4回目の協議でも、県の合意がない限り事業化の手続きを進めないよう確認し、FGTも検討対象とするよう求めた。県幹部は「『FGTはできません』で選択肢から消えるのなら、佐賀駅経由のフル規格の話も終わるだけだ」とけん制する。

 次の協議は、国交省によるルート検証の結果が焦点。協議の終着点はどうなるのか。山口知事は「将来の県民にもちゃんと説明ができるような内容なら合意する準備はある。(国は)県としっかり向き合ってもらいたい」と訴えた。 (北島剛、鶴加寿子)

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