不満続々、0570「待ち課金」のナゼ 背景に人手不足とシステム

 「0570」で始まる有料のナビダイヤルが、携帯電話の「かけ放題プラン」の対象外だと意外と知られていない-。西日本新聞「あなたの特命取材班」が3月にそんな実態を報じたところ、「『待ち時間まで課金』(待ち課金)されておかしい」との不満が多く寄せられた。ナビダイヤルは新型コロナウイルスのワクチン接種の予約など、官公庁や企業が多様な用途で利用する一方で問題も浮かぶ。そもそもなぜナビダイヤルなのか、なぜ「待ち課金」になっているのか-。

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 2005年からナビダイヤルを利用する日本郵便(東京)は、1日約1万件の不在連絡票の問い合わせを全国3カ所のコールセンターに集約している。空き回線のあるセンターに振り分ける仕組みだが、オペレーターが不足している場合は回線に接続したまま待機となり、「待ち課金」が発生する。同社は「人件費の面からオペレーターの増員にも限界がある」と理解を求める。

 同社はナビダイヤル導入のメリットとして「無料だと長電話になりがちな傾向を抑制できる点」を挙げる。北九州市も4月末に始めた新型コロナのワクチン接種の電話予約に、その観点から導入を決めた。背景には「発信者側が通話料を負担すれば、予算の見通しを立てて事業を遂行できる」(市担当課)との考えもある。

 ただ、発信する側に「非」がない場合でも「有料」「待ち課金」となっていることへの不満は根強い。

 新型コロナの感染拡大で昨年11月に事業停止となった政府の観光支援事業「Go To トラベル」。ANA(全日本空輸)グループの旅行を販売する「ANA X」(東京)にはキャンセルの電話が殺到した。回線はナビダイヤル。同グループは10年に「インターネットの普及」を背景に、経費削減の一環としてフリーダイヤルによる応答を廃止していた。想定外の事業停止に加え、「待ち課金」が顧客の負担を増やす結果になったといい、同社は「対応方法を検討中」としている。

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 では、どんな解決策があるのか?

 10年の発足当初からナビダイヤルを導入している日本年金機構は、全国の年金受給者に通知を送る時期を分散することで、問い合わせが集中するタイミングをずらすよう工夫。さらに繁忙期にはオペレーターを可能な範囲で増員している、と説明する。

 これに対して象印マホービン(大阪)は15年から、無料のフリーダイヤルに切り替えた。企業側に原因がある製品の初期不良による問い合わせは購入者にとってストレスである上に、待ち時間も課金されることで「ダブルでおしかりを受けるケースがあった」(同社)ためだ。顧客負担の軽減が双方にとって有益、と判断したという。

 九州のあるエネルギー大手は、独自の工夫で「待ち課金」のゼロを実現した。

 通常なら、電話をして「ナビダイヤルでおつなぎします。およそ○秒で○円かかります」などの音声が流れた後に課金される。だがこの企業ではその後でも、オペレーターにつながるまでは課金されない。

 その場合、「ただいま電話が大変混雑しております…」などの音声案内が流れる代わりに、「プルルル…プルルル…」という呼び出し音が鳴り続けることになる。これを「不安」に感じる人もいるとみられる。

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 この呼び出し音を伴う「待ち課金」防止の取り組みについて、ナビダイヤルを提供するNTTコミュニケーションズ(東京)の技術者は「あまり聞いたことがないが、一つの工夫だ。導入するかどうかは、企業の顧客対応の考え方次第だ」との見解を示す。決してお薦めはできない、との考えだ。

 ただ、同社によると、混雑を知らせる音声が始まった段階で接続状態となってしまう。同社にとってはシステム上、オペレーターとの通話がスタートするタイミングが分からないため、接続と同時に課金せざるを得ないのだという。

 さまざまな条件を考慮した上で、同社は考えられる改善策として、(1)ネット上での手続きに誘導(2)フリーダイヤルへの変更-などを挙げている。(水山真人)

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