宣言解除の鍵握るインド株 政府も専門家も注視、来週可否判断

 20日を期限とし、福岡県など10都道府県に発出中の新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言について、政府は来週半ばにも解除の可否を判断する。新規感染者数は減少傾向にあるものの、病床使用率や療養者数は依然高止まりしている上、インドで最初に確認され、感染力が強く重症化しやすい新たな変異株のリスクも。1カ月半後に東京五輪を控える政府は、宣言解除後のリバウンド(再拡大)が絶対に許されない険しい決断を迫られる。

 宣言対象の10都道府県はいずれも、7日時点で直近1週間の新規感染者数が前週よりも低下。一番後の5月23日に発出された沖縄県もようやく下降局面に入ったとみられ、政府内に安堵(あんど)の声が出ている。

 ただ、国の指標を見ると、7日時点で7道府県がいずれかの項目でステージ4(爆発的感染拡大)に該当。このうち北海道、愛知、大阪、広島、福岡、沖縄の各道府県は、病床使用率や療養者数など複数の項目が宣言解除の前提とされるステージ3(感染急増)に届いていない。特に北海道と沖縄県は、人口10万人当たりの療養者数が100人を上回るなど厳しい状況にある。

 宣言解除に際し、政府の諮問を受ける基本的対処方針分科会の専門家にはリバウンドを回避するため、「ステージ2(感染漸増)を条件とすべきだ」と主張する意見も強い。とりわけ、感染スピードの速さが医療崩壊を招きかねないインド株を警戒し、従来よりも慎重な判断を政府に求める姿勢だ。

 これに対し政府側は、ステージ3到達を前提としつつ、感染抑止の「切り札」であるワクチン接種の前進も織り込み、あくまでも10都道府県一体での「20日解除」を視野に入れる。7月23日の東京五輪開幕前に、政府と大会組織委員会は観客の有無や上限を6月中に決める方針。ぎりぎりまで有観客開催の道を探りたい菅義偉首相の選択肢に、さらなる宣言延長が残っているとは考えにくい。

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 とはいえ、既にインド株は市中感染とみられる事例の報告もあり、今後1~2カ月で国内新規感染者の大半が置き換わるとの予測も。感染の「波」が十分に静まらず、医療提供体制の立て直しも整っていない段階での拙速な宣言解除は、夏の都議選や秋の衆院選に向かう首相の政治生命も危うくすることになる。

 こうした情勢を踏まえ、政府内で浮上しているのが、北海道や沖縄県など厳しい指標の地域に対し、宣言から切り替える形で「まん延防止等重点措置」を適用し、ウイルスとの臨戦態勢を切れ目なく継続する案だ。西村康稔経済再生担当相は「段階的に解除していくことが基本的な方針だ」と説明。首相周辺も「全国的な感染拡大が懸念されていない状況の場合、一部地域だけの宣言はそぐわない。重点措置なら、十分に考えられる」と含みを持たす。 (河合仁志、前田倫之)

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