アジアゾウの群れ、餌求め中国北上500キロ 街や畑で被害1億円超

 【北京・坂本信博】中国で、南部・雲南省の自然保護区を抜け出して約500キロにわたり北上を続けるアジアゾウの群れの動向が連日大きく報道され、注目を集めている。群れは今月に入って人口約700万人の省都・昆明市に到達。食べ物を探して畑や市街地に入り込み、農作物の被害など経済的損失は680万元(約1億1700万円)以上との試算もある。

 アジアゾウは絶滅危惧種で、中国メディアによると群れはメス6頭、オス3頭、子ども6頭の計15頭。ミャンマー国境に近い雲南省の西双版納(シーサンパンナ)タイ族自治州の自然保護区に生息していたが、昨年春ごろに北上を始めた。7月には90キロほど離れたプーアル茶の産地・普洱(プーアル)市に入り、今月2日には大都市の昆明市に入った。

 アジアゾウは1985年には中国国内に約180頭しかいなかったが、中国政府の保護活動で約300頭に増加。餌が少なくなったため、群れが保護区を出たという見方もある。

 雲南省などによると、群れによる器物損壊は400件を超え、約56ヘクタールの農地に被害が出た。発酵した穀物を食べて酔っぱらったり、高齢者施設に入ってテーブルを壊したりしたとの報告もあるが、人的被害は出ていないという。

 地元当局は住民とゾウの安全を確保するため、警察官や救急隊員ら約500人超を動員し、警察車両やドローンで24時間態勢で監視。その模様を国営メディアなどが連日報じている。

 中国の専門家は「野生のゾウは群れのつながりが強い。麻酔銃を使うと仲間が人間を襲う可能性がある」と指摘。餌で誘導する作戦も奏功していない。中国では、野生動物による被害は地元政府が補償する仕組みで、当局は増え続ける被害に頭を悩ましている。

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