「倒壊恐れ」老朽天主堂、立ち入り禁止に気をもむ信徒

 福岡県大刀洗町今の今村天主堂(国指定重要文化財)が、老朽化のため今年1月から立ち入り禁止になっている。「大地震で倒壊する恐れがある」との調査結果が出ており、町は2022年度にも耐震化や修繕工事の実施設計に入る方針。事業費25億円、工期8年との試算もあり、負担が重くのしかかる。信仰と観光のシンボルの今後に、信徒や地元住民は気をもむ。

 今村地区の信徒は、江戸幕府がキリスト教禁教令を出した後もひそかに信仰を守り続け、1867年になって信徒が発見された。「潜伏キリシタン」の文化や歴史は観光資源でもあり、天主堂には年間約7千人が拝観する。

 天主堂は1913年に完成。六角形の双塔が特徴で、九州で多くの教会堂を手掛けた長崎出身の鉄川与助が設計施工した。柱は福岡県久留米市の杉、石材は同県うきは市、レンガは佐賀県神埼市のものを使っている。ステンドグラスはフランス製。九州最大の赤れんが造りの教会堂だ。

 耐震強度不足は2017~18年の調査で判明。建物のゆがみや軟弱地盤などの問題も分かった。壁の亀裂が増え、天井の土が落ちるなど劣化も進んでいることから、カトリック福岡司教区が今年1月、天主堂内でのミサや観光客の拝観を禁じた。天主堂の竹森勇司祭は「耐震工事を待てないほど危険と判断した」と話す。

 天主堂の建物は、信徒や住民の一般社団法人「今村天主堂保存会」が所有。工事費用は国、県、町との分担になる。町は当初、十数億円と見込んでいたが、修繕を含めると概算は22億~25億円に膨らんだという。町の担当者は「重文なので修繕にも配慮が必要になる。費用はさらに増える可能性もある。負担割合の協議はこれからだ」と話す。

 天主堂の信徒は高齢化で減り、現在約200世帯。信徒の寄付が主な収入の保存会には、最低でも2億円の負担金が見込まれる。コロナ禍で総会も開けず、会員への周知にも苦慮する。

 町は、ふるさと納税サイトのクラウドファンディングで保存会への支援金を募り、約412万円が寄せられたという。

 信徒会会長で保存会理事の平田レイ子さんは「工事費確保だけでなく、信仰をどう守るかも不安が残る」と語る。

(内田完爾)

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