ユーモアの中に風刺がちらり ムーミンコミックス展

 7月11日までの午前10時~午後6時、福岡市・天神の福岡県立美術館。西日本新聞社など主催。月曜休館。入場料は一般1500円、高大生1100円、小中生600円。未就学児無料(保護者同伴)。緊急事態宣言中は、本展以外の館内施設は閉鎖している。同美術館=092(715)3551。

姉トーベと弟ラルス、2人の「ムーミン」

 ムーミン一家のもとへ、ビーバーのような姿のクリップダッスが助けを求めにやってきた。山と谷で暮らすクリップダッスたちの間で、住む場所を巡る戦争が始まったのだという。劣勢な方を助けるんだったら。矢を作ってあげたムーミン一家。が、かえって戦闘は激化。ムーミンママは、両陣営にニョロニョロの大群を送り込む-。

 これは、1974年に制作された新聞漫画「MOOMINS IN BATTLE(ムーミンたちの戦争と平和)」のあらすじ。内容は一見恐ろしいが、キャラクターのかわいらしい姿、のんきなせりふに思わず笑ってしまう。

 原画や、キャラの姿をまとめたドローイングなど日本初公開の約280点が並ぶムーミンコミックス展が、福岡県立美術館(福岡市)で開かれている。世界中で今も愛されている、ムーミン谷に暮らす住人たちの物語だ。本展は54~75年に英国紙「イブニング・ニューズ」で連載された作品が中心で、冒頭の「ムーミンたちの戦争と平和」もその一つ。ユーモアの中に、風刺的な表現がちらりとのぞく。

 作者は、北欧フィンランドのトーベ・ヤンソンとラルスの姉弟。本展のプロデューサー、西沢寛さんは「トーベは政治雑誌での過激な風刺絵で批判を浴びたことがあり、表現を意識的にやわらかくしていたようだ」と解説した。

 連載初期は姉トーベが絵とせりふ、弟ラルスがネタ探しと英訳を担当し、60年からは弟の単独制作だった。

 連載を引き継いだ当初、弟は姉の絵を忠実にまねて執筆していたが、慣れるにつれて独自の画風で描くようになったらしい。丸々したムーミンの姿は維持しつつ、よく見ればいくらか角張っているのに気づく。

 トーベ関連99点、ラルス関連180点の展示。西沢さんは「大学で絵を学び、デッサン力もあったトーベが手早く描き上げたのに対し、不慣れなラルスは時間をかけ丁寧に描いていたのだろう。大胆なトーベときちょうめんなラルス。じっくり見比べ、2人の作風の違いを実感してほしい」と話してくれた。

 キャラを判別しやすいようにムーミンママのエプロン着用を求めた新聞社の提案、季節感を大事にして作品の掲載順番が前後したエピソードなどが紹介。ムーミンの親友スナフキン、辛口なちびのミイなどを見つけるのも楽しい。原画は英語表記だが、一部の作品には邦訳が付けられている。

  (文・福田直正、写真・納富猛)

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