「過料ない限り営業」自粛無視、増える酒提供店 福岡・大名50店以上

 福岡県で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が始まり12日で1カ月。一部の繁華街では県の自粛要請を無視し、夜間営業と酒の提供を再開した店が目立ってきた。店が開けば、客もやって来る。若者が集う街として知られる福岡市・大名地区では少なくとも50店以上が営業し、あちこちに酔客の姿が。長引く自粛に危機感が薄れたのか。店も客もこらえきれなくなったのか。街を記者が歩いた。

 「居酒屋どうです?。アルコールもいけますよ」

 11日午後8時15分、大名地区を歩くと、紺の前掛けをした男女がカップルやスーツ姿のサラリーマンにしきりに声を掛けていた。居酒屋の呼び込みだ。試しに「どこか開いてますか」と尋ねた。「いま案内できるのは2軒っす。どこも混んでるんで早めに決めた方がいいっすよ」

 大名地区は流行の洋服店や美容室が点在する一方、居酒屋やバーに加え、ダンスクラブ、ライブハウスもあり、若者の「夜遊びスポット」でもある。

 「24時まで」「お酒飲めます」と看板を出す店や、カラオケの音が漏れてくる店も複数あった。焼き鳥店の外には空席待ちの団体客も。呼び込みの男性(20)によると、6月から再開した店が多く、それに合わせて客も増えたという。

 営業自粛が求められる午後8時以降に記者が歩いて調査したところ、8日夜には少なくとも51の飲食店が営業していた。

 なぜ営業を始めた店が増えたのか。飲食店や地場不動産会社によると、一つの理由に協力金がある。一律支給された協力金は今春から売上高の規模別になり、個人経営など小規模事業者の受取額が減った。大名地区は「歓楽街・中洲と同等程度の家賃負担」(不動産会社)。時間を守っても稼ぎ頭の酒は出せず、休業を選べば、固定費が協力金を上回るケースもある。不動産会社には、そんな理由から再開を決めたという経営者の声が届いている。

 ルールを破れば過料を受ける恐れもあるが、バーの店主(39)は「福岡で過料を受けた話は聞かない。役人が来るまで営業しようと考えた」と打ち明けた。

 客側にも緩みが見られる。感染者数は宣言が出た5月12日の634人をピークに減り、6月4日以降は100人以下が続く。同僚2人と飲みに来た男性会社員(26)は「感染者も減ったし、そろそろ飲んでも良いかなと」。半年ぶりに来たという自営業男性(53)は「店だけじゃなく、私たちも我慢の限界」と話した。

 大名地区の大半の飲食店は県の要請に従っている。ピザ店の経営者(38)は「要請に応じ収束に協力することがお客の信頼に応えることと信じる」と、辛抱を続ける同業者の声を代弁した。

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 福岡県は11日までに、要請に応じない飲食店313店のうち店内が混雑するなど感染リスクが高い20店に、今後も応じなければ「休業命令」を出すと通知した。県は店の弁明書の提出を受け、命令するか判断する。命令に従わない場合は30万円以下の過料を科し、店名の公表も検討する。 (井崎圭、高田佳典、才木希)

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