土地規制法案、沖縄の憂い 「皆が監視対象」、基地反対運動萎縮も

 米軍や自衛隊の基地を多く抱える沖縄県で、基地周辺や国境離島などの土地利用を規制する「重要土地規制法案」に懸念の声が強まっている。参院で審議が進む法案は、外国資本などによる不透明な土地の取得や利用を防ぐ狙いだが、規制区域や調査範囲などがあいまいで、基地への抗議運動が規制されたり、人権が侵害されたりする恐れが指摘されているからだ。沖縄弁護士会は「沖縄は県土そのものが国境離島。県民誰もが調査規制対象になる」として廃案を求めている。

 法案は、自衛隊や米軍施設から1キロの範囲や国境離島などを「注視区域」に指定。土地所有者や利用状況を国が調査できるようにする。特に重要な国境離島などは「特別注視区域」と定め、土地売買時の事前届け出を義務付ける。1日に衆院で可決された。

 沖縄弁護士会は(1)調査規制の対象となる注視区域を無限定に拡大できる(2)注視区域の調査内容が政令に委ねられ、調査対象も「利用者その他の関係者」と広範囲に及び、行動や思想信条など際限なく調査が拡大される恐れがある-などの問題点を指摘。「基本的人権が侵害される恐れが大きい」として5月下旬、反対の会長声明を出した。

 特に影響を受けるとみられるのが離島だ。中国の軍事力拡大を背景に、防衛省は南西諸島で防衛体制を強化する。宮古島では昨年、陸上自衛隊のミサイル部隊が配備され、今月2日に弾薬搬入も始まった。搬入に反対する下地博盛さん(71)は「基地前での抗議や監視活動が規制されるのでは」と危機感を口にする。

 約15%の面積を米軍専用施設が占める沖縄本島でも不安が広がる。沖縄平和運動センターは、米軍施設から1キロの範囲が注視区域となった場合、嘉手納基地(嘉手納町など)周辺は約9万人、普天間飛行場(宜野湾市)周辺は約9万8千人が対象と試算。「騒音などの被害者である住民が監視対象にされる」と指摘した。

 5月の衆院内閣委員会で自民党の杉田水脈(みお)議員が、基地反対運動に法案適用を求める趣旨の発言をしたことも反発を招いている。杉田氏は普天間飛行場の名護市辺野古への移設工事に対する抗議活動を例に「直ちに機能を阻害しているように見えなくても、派生する影響も十分に考慮して本来の目的を果たしていただきたい」と政府に訴えた。

 移設に反対する名護市の豊島晃司さん(69)は「罪のない市民が思想信条を調べられる可能性がある。反対運動を萎縮させ、抑え込む狙いがあるのでは」と警戒している。

 (那覇駐在・野村創)

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