G7サミット 多国間協調を実践で示せ

 民主主義や人権尊重の理念を共有する主要国が原点に立ち返って結束し、世界をリードする決意を改めて示した。

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)は2年ぶりに対面で開かれ、多国間主義やルールにのっとった国際秩序に基づき行動することで一致した。近年、機能不全に陥っていたG7の復活をまずは歓迎したい。

 G7は自国第一を掲げるトランプ米前大統領の独善的な言動に振り回され、存続すら危ぶむ声があった。2019年の前回は欧米の対立が激化し、共同声明を事実上断念せざるを得ないほど結束が弱まっていた。

 こうした状況の転機が新型コロナウイルスパンデミック(世界的大流行)という地球規模の課題であり、国際協調を重視するバイデン米大統領の登場だった。バイデン氏は前政権と打って変わって着実に議論を積み上げる従来の外交手法へ戻り、参加国の結束を引き出した。

 今回の首脳会議では、コロナ対策をはじめ気候変動など幅広い分野で次々と政策目標を打ち出し、途上国のインフラ整備を支援する構想でも一致した。コロナ後を見据えて世界が目指すべき方向を示せたのは、大きな成果と言えるのではないか。

 首脳声明で最大の焦点は、経済的にも軍事的にも台頭する中国へのメッセージをどう表現するかだった。各国も経済関係から中国との向き合い方には温度差があり、擦り合わせは容易でないとみられたからだ。

 結果は中国へのけん制を鮮明にする内容になった。台湾情勢に初めて言及し、新疆ウイグル自治区での人権や自由の尊重、香港の高度な自治を中国に求めた。首脳声明で特定の国にここまで踏み込むのは異例だろう。

 中国は今、東シナ海や南シナ海に国際法に反して進出し、台湾と国交を結ぶ国にコロナワクチン提供に絡んで揺さぶりをかける。こうした横暴とも呼べる振る舞いがG7各国に共通の脅威として認識された意味を正面から受け止めるべきである。

 今回、ようやくG7の足並みがそろったが、結束をどう維持するかは課題だ。中国に対し強硬姿勢を先鋭化させるばかりでは、国際社会で支持も広がらないだろう。中国などの台頭で世界経済におけるG7の存在感もかつてほどの重みはない。

 民主主義や国際協調の大切さについて唱えるだけでなく、途上国がその価値を実感できるような取り組みが求められる。

 途上国にとって喫緊の課題であるワクチンの普及はその試金石となり得る。先進国がワクチンを占有している状況には不満が強く、速やかに行き渡らせる努力が不可欠だ。

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