東芝の株主総会 国の不当介入なかったか

 事実とすれば、日本の企業全体と行政の国際的な信頼を損ないかねない。政府が目指す対日投資拡大の妨げにもなろう。

 昨年7月にあった東芝の定時株主総会で、東芝と経済産業省が一体となって、大株主である海外の投資ファンドによる株主提案権の行使を妨げようとした-とされる問題である。

 東芝の外部弁護士による調査報告書は、この総会が「公正に運営されたものとは言えない」と結論付けた。たとえ大株主と経営方針を巡る対立があったとしても、経営側が監督官庁と手を組んで総会の運営をゆがめていいはずがない。

 東芝は真相の究明を急ぎ、経産省も十分な説明責任を果たさねばならない。

 14日に記者会見した東芝の永山治取締役会議長は「企業統治や法令順守の意識が欠如していたと言わざるを得ない」「監督機能も十分に発揮しきれていなかった」と陳謝した。報告書の内容を大筋で認めた格好だ。

 東芝は、25日の定時株主総会に諮る役員改選案を急きょ変更し、監査委員会を担当する社外取締役2人を候補から外した。経産省側とやりとりしていた副社長など執行役2人も退任させる。まずは当然の対応だろう。

 永山氏は、株主総会後に新たな監査委の下で第三者の目を入れて調査を行い、当時社長だった車谷暢昭氏の責任を含めて検証する方針を示した。

 投資家からは永山氏の責任を問う声も出ている。株主総会で永山氏が再任されるかは不透明だが、誰が経営トップに就こうとも、この問題に適切なけじめをつけることは東芝の企業統治の最優先事項である。

 東芝は車谷社長時代に大株主の投資ファンドと激しく対立し経営の混乱が深まった。今年4月には、英投資ファンドが買収による非上場化を東芝に提案した。車谷氏はかつて英ファンドの日本法人会長を務めていたため、保身のために英ファンドと組んだとの疑いを持たれ、車谷氏は社長を辞任した。東芝はこの疑惑も解明すべきだ。

 経産省の関与の程度も重大な焦点だ。東芝が手掛ける原子力や防衛装備品などの分野は、外為法で外国投資家の出資が制限されている。今回も東芝との一定の情報交換は必要だろうが、法律の趣旨を逸脱した経営との癒着となれば深刻な問題だ。

 経産省は自らには問題なしとの構えだ。ただ、物言う株主対策を相談され、外為法に基づく権限発動をちらつかせて外資ファンドに圧力を加えたとされる行為は適法なのか。企業統治改革の旗振り役の経産省である。事実関係を検証し、結果を公表することが求められる。

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