深夜の山で凍える高齢者発見 警察犬の出動増加、頼れる手腕【動画】

 福岡県警は行方不明になった認知症の高齢者などを捜索するため、警察犬の出動を増やしている。昨年は530件で、2015年に比べて400件多かった。一刻を争う捜索現場で人間の1億倍ともいわれる嗅覚を生かそうと、昨春には警察犬と担当者を増員。24時間態勢で臨んでいる。

 5月下旬、福岡市近郊の雑木林。ガーゼのにおいをかいだジャーマンシェパードのコウタロウ(9歳)は、地面に鼻を近づけて歩き始めた。行方不明者や犯人の足取りをたどる「捜索追及訓練」。数十秒後、20メートルほど離れた木の裏に隠していた同じにおいのガーゼを見つけた。

 鑑識課警察犬係の杉野浩平巡査長(31)が「よし!」とごほうびのおもちゃを与えると、うれしそうに尻尾を振った。ペアを組んで3年目。杉野巡査長の目を見つめて指示に応える。

 コウタロウは昨秋、行方不明になった高齢男性が民家の物陰で倒れているのを発見し、命を救った。杉野巡査長は「犬の力で救える命があると実感した。頼もしい相棒です」と話す。

 県警によると、警察犬の出動は、16年200件▽17年230件▽18年280件▽19年480件-と増加。毎年、7~9割は行方不明となった高齢者や子どもの捜索事案だ。犬の能力でしか発見できないケースも多く、ここ数年、積極的に出動しているという。

 昨春、警察犬係を6人から7人に増員。5頭のジャーマンシェパードに加え、捜索能力が高いとされるラブラドルレトリバー1頭も仲間入りした。福岡市博多区の専用施設や公園で訓練に励みながら、3交代制で出動に備える。

 係を取りまとめる村上年一警部補(57)は警察犬の訓練歴35年、全国最長のベテランだ。特に印象に残る捜索活動があるという。

 19年末、山中で行方不明になった高齢男性を捜すため、ラガー(4歳)と深夜の林道を歩いた。日付が変わった頃、ラガーは林道脇の斜面下を気にするしぐさを見せた。やぶの中で男性が凍えているのを見つけ、無事に救出。男性の家族は、ラガーに向かい「ありがとうございました」と丁寧にお礼を述べたという。

 「諦めずに捜し続ける限り、可能性はゼロではないことを犬たちが教えてくれる」。村上警部補はこれからも、警察犬とともに助けを求める人の元に向かう。

 (木村知寛)

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