通常国会閉幕 懸案は山積、政権は逃げた

 多くの懸案から逃れるような幕引きである。会期延長を求めた野党4党の内閣不信任決議案を与党などが否決し、通常国会はきのう閉会した。

 間断なく新型コロナ禍へ対応するためにも国会は開いておくべきだ、と私たちも主張してきた。そうした声を無視する与党の判断は自らの職責を放棄したものだと改めて指摘したい。

 残された問題はコロナ対応だけではない。公選法違反の罪で略式起訴された菅原一秀前経済産業相をはじめ、政治とカネの問題で会期中に3人の自民党国会議員が辞職した。当事者は何一つ国会で説明していない。

 総務省の違法接待問題も第三者委員会の調査報告書が出たばかりである。東芝の株主総会経済産業省が不当に関与したとされる疑惑も検証が必要だ。性的少数者への理解増進を図る法案も、自民党内の調整が付かず積み残された。

 菅義偉首相にとっては初の通常国会だった。代表質問の答弁は質問時間の半分から3分の1程度の素っ気ないものだった。正面からの議論を避ける姿勢はその後の審議でも続き、先の党首討論で極まった。聞かれたことに答えない、都合の悪いことには耳をふさぐ。安倍晋三前政権以来の悪弊と通底する。

 さらに深刻なのは、こうした姿勢が首相一人にとどまらないことだ。首をひねる言葉が国会審議で次々に飛び出した。

 総務省接待問題で、NTT社長との会食の事実を問われた武田良太総務相は「個別事案は答えを差し控える」という通常あり得ない答弁を繰り返した。東北新社の問題では答弁に立つ部下の官僚に「記憶がないと言え」と指示したと批判された。

 計20万円超の接待で懲戒処分された当時の同省幹部も「倫理に違反する会食はしていない」と非常識な言い逃れを図った。

 政治家があしき見本を示し、それに官僚まで追随する。「国権の最高機関」の国会をあまりに軽んじていないか。政府提出法案の条文などにミスが多発した事実も重い。政府のおごりや慢心は極まったように思える。

 これを許した野党の責任もあろう。内閣不信任決議案提出を巡り最大野党である立憲民主党の枝野幸男代表の発言が揺れ、政府に対する追及も鋭さを欠いた。秋までに確実に衆院選がある。政権の受け皿に足る力量や存在感を示せたとは言えず、仕切り直しが求められる。

 今後、数カ月に及ぶ国会審議の空白が生じかねない。不確定要素の多いコロナ対策を考えると臨機応変な閉会中審査の活用は不可欠だ。有権者も、国会閉幕で露呈した政治の現実をしっかりと見極めねばなるまい。

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