「年内にトランプ氏復帰」陰謀論に対抗、国内テロ戦略策定

 【ワシントン金子渡】バイデン米政権は、米政府として初となる国内テロ対策の国家戦略を策定した。米国ではトランプ前大統領の支持者による1月の連邦議会議事堂襲撃事件以降、白人至上主義者や極右勢力など過激派絡みの新たな国内テロへの懸念が高まっている。新戦略ではテロの未然防止から温床となる問題の解消まで総合的な対策に乗り出すとしている。

 政権は3月に公表した報告書で、国内で最も懸念される脅威として白人至上主義など人種・民族的な動機に基づく過激派や、反政府の民兵組織などを挙げた。バイデン氏は「国内テロは国家安全保障、民主主義、国民の団結に対する挑戦だ」と訴えている。

 今月15日に発表した戦略は四つの柱で構成。(1)国内テロの脅威の全容把握と情報共有(2)テロリストの勧誘、扇動の防止(3)テロリストの活動が暴力に発展する前の抑止(4)国内テロの原因となっている長期的な問題への対処-を掲げた。具体的には捜査当局や関係機関が緊密に情報共有し、テロの分析能力を強化。インターネットを通じた勧誘や暴力の扇動を防ぎ、過激思想者が軍や捜査機関に入り込まないよう対策を講じる。

 さらにテロの温床となる根本的な問題に対処するため、経済格差や銃の拡散、構造的な差別、社会を分断させる偽情報や陰謀論流布に関する対策にも取り組む。

 米国ではトランプ氏が人種差別問題に消極的だったこともあり、白人至上主義者の台頭が社会問題化。同主義者の一部などを含む保守層の支持が依然厚いトランプ氏は、昨年11月の大統領選について現在も「不正で勝利が盗まれた」と繰り返し主張し、国内を大きく二分する社会の分断は解消されていない。

 陰謀論を唱える勢力「Qアノン」の信奉者の間では根拠のないデマも広がっており、米調査会社モーニングコンサルトによると「今年中にトランプ氏が大統領に復帰する可能性が高い」と答えた共和党支持者は3割近くに上るという。

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