「身近な地名使い具体的に」災害情報ちゃんと届けたい

 豪雨災害が毎年のように発生する中、どうやって危険性を伝え、命を守る行動につなげてもらうか-。過去の災害を教訓に、気象庁や報道機関は「伝え方」や「用いる言葉」の改善を進めている。キーワードは「具体的に」「身近に感じてもらえるように」だ。

 「これまでに経験のない記録的な大雨」。昨年9月、気象庁は台風10号の接近を前に警戒を呼び掛けた。「特別警報発表の可能性」と踏み込み、連日会見を開いた。結果的に発表には至らず“空振り”となったが、今年2月に気象庁が行ったアンケートでは約6割がこの呼び掛けを評価した。事前の避難行動が各地で見られた。

 ここで用いられた「特別警報」は、2011年の紀伊半島豪雨などで危機感が十分に伝わらず大きな被害が出たことを背景に、気象庁が13年に導入。18年の西日本豪雨をきっかけに使い始めた「命を守る行動を」との強い言葉は、流行語大賞にもノミネートされた。

 地方気象台では管内の各地域を担当する予報官を決めて自治体と連携し、専門知識や気象状況を市町村の避難情報に反映させる「あなたの町の予報官」が19年度から続く。福岡管区気象台の担当者は「予報の精度を高めつつ、適切な伝え方を模索していきたい」と話す。

 災害対策基本法で報道機関唯一の「指定公共機関」に規定されるNHKの災害・気象センターは「東京から全国一律に伝える放送では、身近な危険を知らせるのに限界がある」との見解に立ち、ローカル目線を重視している。

 「○丁目の裏山が崩れた」「▽橋で川の水位が上がっている」-。発生現場に近い地方放送局が地域の固有名詞を具体的に挙げる。雨雲の動きや河川の水位、土砂災害の危険度など気象庁の最新データを映し出し、その場で記者が説明する「リアルタイム解説」の活用も広げている。

 関西大の近藤誠司准教授(災害情報論)は、日頃の報道を通じて難しい用語を伴う気象情報の意味や生かし方を伝える大切さを強調。その積み重ねが「信頼感を生み、緊急時に(読者や視聴者の)行動の選択肢を増やすことになる」としている。

 (梅沢平)

PR

社会 アクセスランキング

PR