居酒屋が中高生の「たまり場」⁉ 学習支援に休業店舗活用

 新型コロナウイルス緊急事態宣言下で、福岡県内の多くの飲食店が休業や営業時間短縮を余儀なくされる中、中高生たちが夕食を共にしながら会話を楽しむ「たまり場」として、休業中の居酒屋を活用する取り組みが同県古賀市で行われてきた。20日で宣言解除の見通しになったことで、店舗での活動は16日が最終日。子どもたちは店の特製弁当をおいしそうに食べ、名残を惜しんだ。

 「超うめ~」。16日夕、古賀市舞の里の焼き肉居酒屋「喜多屋」。経営する喜多雅英さん(65)自慢のローストビーフ弁当を頬張った子どもたち数人が、そろって歓声を上げた。

 ローストビーフは同店の人気メニュー。家に持ち帰って食べる子どももいるため、喜多さんが手際よく弁当容器に盛り付けた。ふたを開けた女子中学生が「豪華!」と声を弾ませた。

 同市での中高生のたまり場事業は、市の子育て支援グループ「子どもパートナーズHUG(ハグ)っこ」(梯裕子理事長)が市社会福祉センターで毎週水曜夕方に開催している。集まる子どもたちは、多い日で十数人。長引くコロナ禍で労働環境は厳しさを増し、親が遅くまで働いていたり、夕食を作る時間がなかったりする家庭もある。子どもたちはスタッフが差し入れたおかずと炊きたてご飯で一緒に夕飯を食べ、宿題の合間におしゃべりやゲームをして午後8時ごろまで過ごす。

 だが、3回目の緊急事態宣言が福岡県内に出された5月以降、各地の公共施設は相次ぎ休館。こうした施設を拠点にしているため、活動を休止せざるを得なくなった子ども支援グループは少なくない。

 「HUGっこ」の事業も休止の危機を迎えたが、スタッフたちは「コロナ禍なら、なおさら子どもたちが安心して過ごせる場所が必要」と代わりの施設探しに奔走。PTA活動などで同グループと旧知だった喜多さんが事情を聴き、「困ったときはお互いさま。店が休業している間、好きに使っていいよ」と申し出た。

 「居酒屋やら入っていいと?」と、初めは驚いていた中学生たちも、慣れるとテーブルに陣取り、にぎやかにおしゃべり。見守り役の大学生、西川匠さん(23)に教わりながら試験勉強に取り組み、スタッフ手作りの弁当を食べた。

 1カ月以上に及んだ緊急事態宣言もようやく解除へ。たまり場事業も来週からは元の市施設に戻る予定で、喜多さんも久々の開店に向けて準備に大忙しだ。

 「客が誰も来ない日が続いたから、子どもたちのにぎやかな声で元気をもらえた。来週には新しい日常が始まるんだな」と喜多さん。子どもたちは「また来たいな」と言ってくれた。コロナ禍を共に過ごし、店に活気を与えてくれた地域の「仲間」として、育ちゆく子どもたちをこれからも見守っていこうと思っている。

 (今井知可子)

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