緊急事態解除へ 再拡大防止へ緩みは禁物

 前回の緊急事態宣言新型コロナウイルス感染者数が下げ止まる中で解除され、感染の再拡大を招いてしまった。同じ失敗を繰り返してはならない。

 政府はきのう、10都道府県に出している緊急事態宣言について、沖縄を除き20日の期限で解除することを決めた。福岡を含む7都道府県はまん延防止等重点措置に移行する。期間は宣言を延長する沖縄とともに7月11日までとなる。

 医療提供体制が逼迫(ひっぱく)している沖縄以外は、感染状況を示す評価指数の大半が最も深刻なステージ4を脱し、ステージ3以下になった。宣言を解除する目安には一応達していよう。ただし全体として、専門家が求める「ステージ2への安定的な下降傾向」にあるとは言い難い。

 感染力が強い変異株の広がりや人々の移動の活性化などがあり、感染者の減少は鈍化している。厚生労働省の専門家組織も宣言解除には「リバウンドが懸念される」と警鐘を鳴らす。実際、東京の感染者は増加に転じそうな勢いがある。大阪、愛知を含めた大都市部の感染拡大は全国に波及しかねない。最大級の警戒が求められる。

 感染対策や警戒感の緩みは禁物である。国や自治体はもちろん市民一人一人まで、対策に粘り強く取り組む必要がある。

 重点措置の適用地域では飲食店の酒類提供に時間制限が設けられる。会食時の感染リスクが高い以上はやむを得ない。都道府県知事はさらに強い独自の制限を打ち出すこともできる。休業や時短の要請に協力した業者を支えながら、感染拡大の兆しを見逃さず機動的で実効性のある対策を繰り出してほしい。

 政府が切り札とするワクチンの接種事業はようやく軌道に乗ってきた。希望する高齢者への接種は7月末までに完了しそうだ。基礎疾患のある人々や介護スタッフなどに順次対象を広げ、接種を加速したい。

 同じ人に1日に2回接種したり、低濃度のワクチンを接種したりといったミスが各地で相次いでいる。深刻な医療事故にもつながりかねない。不安を広げないためにも、厚労省の主導で再発防止に取り組むべきだ。

 適用地域での大規模イベントには、上限を1万人とする経過措置が盛り込まれた。感染防止に有効な人数制限は妥当だが、7月23日開幕予定の東京五輪を「有観客」にするための布石にしたいとの思惑が政府にあるとすれば、筋違いだろう。

 仮に五輪直前でも開催期間中でも、感染状況が悪化すれば、躊躇(ちゅうちょ)なく緊急事態宣言を出す。その覚悟を政府に求めたい。国の感染症対策の本分は、国民の健康と命を守ることだ。

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