幼少期から不明の1737人発見…誘拐事件解決目指す中国の「再会作戦」

 【北京・坂本信博】人身売買を目的とした子どもの誘拐事件が後を絶たない中国で、公安省が未解決事件を掘り起こし、行方不明者の居場所を突き止めて親元へ帰す「再会作戦」を展開している。1月からの半年弱で、幼少期に誘拐されて行方不明になっていた1737人を捜し出し、人身売買の容疑者236人を逮捕。91件の未解決事件を解決したという。58年ぶりに再会できた事例もある。

 公安省や中国メディアによると、誘拐された子どもの容姿が変わってもDNAで特定できるシステムや防犯カメラに加え、行方不明の子どもの情報を公開するインターネット上のプラットフォームを活用。会員制交流サイト(SNS)や地図アプリなど25種のスマートフォンアプリと連携し、特定地域のスマホ利用者に不明児情報を周知して手掛かりを探すという。

 物心つく前に誘拐された場合、本当の親の記憶がない被害者も少なくない。このため、行方不明者と家族が血縁関係者を捜すための無料採血場も約3千カ所整備し、スマホで検索できるようにした。

 このところ、国営メディアなどが誘拐被害家族の再会を伝えるニュースを相次いで報じており、6月上旬には、山東省の90歳の男性が58年ぶりに息子と再会できたことが話題になった。

 中国では、年金や医療保険など社会保障制度の整備の遅れや、2015年まで36年続いた「一人っ子政策」の影響もあり、子どもに恵まれない夫婦や後継ぎのいない農家が、老後の暮らしを支える働き手として男児を買い求めているとされる。売買価格は10万元(約170万円)前後とも言われ、地方で誘拐された子どもが都市部で物乞いをさせられた事例もあるなど、長年の課題となっていた。

 中国政府は4月、2030年までの「人身売買防止計画」を打ち出し、社会全体で対策を強化する方針。1月に始まった再会作戦で発見された「行方不明児」の多くは10年以上前に誘拐されていた。児童保護政策の専門家は「誘拐の予防や救出活動に加えて、人身売買の被害者や家族の精神的ケア、社会復帰支援など長期的な仕組みを構築する必要がある」と指摘している。

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