【動画】クラスター出さない決意…選手村を歩いて感じたこと

 世界最高のパフォーマンスはここから生まれる―。東京五輪・パラリンピック組織委員会は20日、選手やコーチらが大会時に滞在する選手村(東京都中央区晴海)を報道陣に公開した。大会関係者は行動先を限定し、専用車両で移動し、外部との接触を遮断する「バブル方式」を取るとはいえ、新型コロナウイルス感染防止対策は徹底されているか。「アスリート目線」の生活空間がしっかり確保されているかも気になる。開幕まで、残り約1カ月。あるじを待ち、急ピッチで準備が進む選手村を歩いた。

 東京湾からの風が吹き抜け、都心のど真ん中とは思えないほどの静けさが漂う。初めて足を踏み入れた選手村は、敷地面積約44ヘクタールに14~18階建てマンションが21棟並び、文字通り「一つの村」が形づくられていた。壮観のひと言だ。

 組織委の案内で、選手らが拠点とする居住棟を見学した。

 室内は、100%リサイクルが可能な段ボール製ベッドや、選手から要望が寄せられた遮光カーテンを設置。外廊下は、車いす2台がすれ違える十分な広さを保つ。クローゼットも「車いすの選手が座ったままハンガーを掛けるのに、ちょうど良い高さにした」(組織委)と、バリアフリーが行き届いている。きめ細かく丁寧な、日本人らしいホスピタリティーがあふれる。

 肝心要の感染症対策は-徹底されていた。

 発熱やせきの症状がある人をスピーディーに診療する仮設医療施設「発熱外来」が整備済み。ジムなどの混雑状況をセンサーで検知して知らせてくれるシステムを導入し、「密」回避につなげる。

 1日最大4万5千食の食事を提供するメインダイニングホールは座席を削減し、アクリル板を前と横に設置。ランニングマシンなど約600台の有酸素マシンが入るフィットネスセンターも全身をカバーできる仕切りを据え、マスク着用も義務付ける。設備とルールの一つ一つに、選手村ではクラスター(感染者集団)を絶対出さない、との強い決意を感じさせた。

 選手村内には、24時間自動運転で巡回運行する電気自動車も導入。環境に優しい持続可能な大会を、世界に向けて発信する。

 選手の生活をサポートするのが、居住棟から歩いて10分程度の「ビレッジプラザ」。施設に入った瞬間、爽やかな木の香りに包まれた。全47都道府県から無償提供された約4万本の木材を使用しており、競技前後の緊張を和らげるリラックス効果が高そうだ。

 雑貨店、郵便局、銀行、クリーニング、インターネットラウンジカフェ…。施設内の提供サービスは多岐にわたる。日本中から電話で集まった応援メッセージを多言語で表示する「みえる応援電話」や、モバイル端末で言語を翻訳するサービスも実施するという。

     ■      

 選手村は7月13日に開村する。20日、組織委の橋本聖子会長は報道陣に「現役選手時代などに11回、選手村を経験した。過去の五輪には申し訳ないが、東京大会が過去最高と思う」と胸を張った。選手村村長の川淵三郎氏も「アットホームな村へ最善の努力をする」と力を込めた。

 人と人の接触を減らす必要に迫られながらも、つながりやコミュニケーションを大切にし、少しでも日本の文化、もてなしを伝えたい-。そんな願いを、海外からの大会関係者も受け取ってくれるだろう。

 他方で、感染防止対策のルールをまとめた選手向けの「プレーブック(規則集)」の順守は大前提だ。組織委は、村内の公園での飲酒を認めないことなどを、参加各国の選手団長会議で強く呼び掛けるとしている。

 こうした対策の実効性を高め、選手村と東京大会自体の運営を一定の成功に導くには、私のようなメディア関係者、市民を含め、国内外に協力の輪が広がっていくことが欠かせない。前例なき新型コロナのパンデミック(世界的大流行)下での五輪・パラリンピックを目前に、私も一当事者であるとの意識を強く持ち行動していくことを改めて誓った。

(郷達也)

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