中国共産党100年、人権批判でも続く統制強化 「強」を多用する習体制

石井明・東京大名誉教授に聞く

 中国を事実上の一党独裁で支配する中国共産党が1921年7月の創設から100年を迎えた。中国は人口14億、世界2位の経済大国に成長し、米国の覇権に挑むまでになった一方、社会の格差は拡大し、腐敗が深刻化。新疆ウイグル自治区や香港での人権弾圧には国際社会からの批判が高まる。中国を長年研究してきた石井明・東京大名誉教授(76)に、これまでの党と中国の歩みや展望について聞いた。(聞き手は中国総局・坂本信博)

 ―中国共産党100年の歩みをどう見るか。

 「ロシア革命の成功に刺激を受けた中国の青年が上海に集まって中国共産党を結成したのが1921年7月。第1回党大会に出席したのは毛沢東を含めてたった13人だったが、激しい内部闘争を繰り返して9500万人の党員を有する世界最大の共産党になった。世界史的にも大変なことだ」

 「中国は毛沢東時代に立ち上がり、〓小平時代に豊かになる努力を進めた。世界で最も貧困人口を減少させたと自賛する一方、民主化運動の高まりに対して軍を動かした1989年の天安門事件で深い傷痕を残した。江沢民時代は経済発展第一に加え、日本批判のためというより、バラバラになった中国人民を結び付けるための接着剤として愛国主義教育を打ち出した」

 ―2012年に今の習近平指導部が発足した。

 「習指導部発足直前の10年に中国は日本を抜いて世界第2位の経済大国になった。習時代は中国を強くするのが任務で、強国、強軍と『強』の字を多用している。今世紀半ばまでに米国に経済・軍事両面で肩を並べる目標を17年に掲げたことで、米国の反発と警戒を招き、米中対立につながった。国内ではナショナリズムが高まり、西側への反発も強まっており、難しいかじ取りを迫られている」

 ―共産党の悲願である台湾統一が実現すれば、習氏のレガシー(政治的遺産)となるとの見方もある。

 「習総書記にとって最大のレガシーは社会主義現代化が完成したと言える豊かな国造り。ミサイル攻撃で廃虚になった台湾を取り戻しても無意味だと分かっている。西側諸国が『一つの中国』を認めている限り、台湾に侵攻することはないだろう。ただ、戦前の日本のように国内世論が高揚し過ぎれば指導部に軍事的行動を迫る動きも出てきかねないため、国内を厳しく統制せざるを得ない」

 ―今後の習体制は。

 「習氏が『歴史の周期律を抜け出す』という言葉を使っていることに注目している。中国では幾多の王朝が勃興したが、どれも内部的に腐敗し、立ち上がった民衆によって覆された。指導部は危機感を持っている。腐敗取り締まりと党の指導を強める基本線は今後も変わらないだろう。思想解放や、国家主席を選挙で選ぶような政治体制改革の動きは抑え込んでいく」

 「人権が守られていないという批判があるのは知った上で、国民を強圧的に抑える体制を組んでいるため、国民の不満が上に上がるルートが保障されていない。習氏一人に権力が集中する流れは変わりようがないが、いったん何かが起きると対応が難しくなる弱点もある。本当に党創建100周年を祝うなら、光の部分だけでなく負の歴史にも目を向けて過ちを繰り返さないようにすべきだ」

 ※〓は「登」に「おおざと」

 いしい・あきら 1945年生まれ。日本大客員教授。アジア政経学会元理事長。専門は東アジア国際関係史(日中・中ソ関係史)。

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