キングダム、漫画本では見えない奮闘の「跡」

 春秋戦国時代の中国で将軍を夢見る少年信(しん)と、後に始皇帝となる若き王嬴政(えいせい)の出会いと成長を描いた歴史漫画「キングダム」。青年漫画誌で連載15年を数え、8千万部を超えるコミックス、テレビアニメ、映画と人気は絶大だ。その世界を体感する「キングダム展-信-」が8月3日、福岡市美術館で開幕する。福岡展に先だって開催中の東京展を訪ね、作者の原泰久さん=佐賀県基山町出身=に創作秘話や故郷への思いを聞いた。 

 上野の森美術館で開かれている東京展に入ると、そこは戦乱の時代の、秦の国。信は幼なじみの漂(ひょう)と別れ、連戦を戦い抜きながら嬴政の中国統一に貢献する。展示空間いっぱいに単行本41巻までの原画400点以上、描き下ろしイラスト約20点、原画を拡大プリントした作品が張りめぐらされている。漫画本の中を歩くような興奮と感動。物語に引き込まれていく。

 見どころのひとつが、信が初陣で出会う巨人の将軍王騎(おうき)の絵だ。高さ3メートル。原さんが本展のために4日がかりで挑んだ。和紙に広がる墨の絶妙なにじみ具合が、迫り来る雰囲気を醸す。漫画の中で、信は初めて会った王騎の威容に度肝を抜かれた。まさにそんな衝撃を追体験するよう。

 自らが監修する漫画展が、原さんにとって長年の夢だった。13年前、師匠の漫画家井上雄彦さん=鹿児島県出身、代表作「スラムダンク」=が同じ上野の森美術館で漫画展を開いた。会場に立ち、「いつかは自分も」と思い続けてきた。

 「人間の本質は光」「戦いがない世に」―。本展では、作中の決めぜりふをちりばめた。戦乱の中で互いを思いやり、平和を目指す登場人物たちの言葉は、現代に生きる人々に向けたメッセージでもある。作品には、学生時代に友人に助けられた思い出、会社員時代に真剣に働く先輩たちをまぶしく思った経験も生かされているという。

 構想ノートや参考文献の歴史書も展示され、キングダムの壮大で普遍的な魅力を余すところなく伝えていた。

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