ユニオンは労働者の「最後のとりで」、運営に公的支援を 識者に聞く

団交の鬼~ブラック企業との闘い❼ 「労働政策研究・研修機構」の呉学殊・統括研究員に聞く

 1人でも加入できる労働組合「ユニオン」を舞台に、「団交の鬼」志水輝美さん(70)=連合福岡ユニオン特別執行委員=の闘いを追ってきた。今回は、その闘いを客観的な立場から分析してもらう。韓国出身で、厚生労働省が所管する「労働政策研究・研修機構」(東京)労使関係部門の統括研究員である呉学殊(オウ・ハクスウ)氏(58)にユニオン全体の課題も含めてインタビューした。(聞き手は竹次稔)

 -2007年度から、全国にある地域ユニオンについて研究してきた。

 「職場でのいじめや突然の解雇、労働条件の引き下げなど、労働者と事業主とのトラブルは『個別労働紛争』と呼ばれる。(非正規労働者の増加などを受け)当時、社会で表面化してきた。その相談先として厚労省の各労働局だけでなく、全国にある地域ユニオンも大きな受け皿となっていた。その全国的な実態を調べることにした」

 「『コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク』(32都道府県の77組織)というユニオンの集まりについて、07年度から約3年間で、北海道から九州まで約60人の話を聞いた。連合福岡ユニオンとの出合いもそこからだ。全国ネットの調査は今も続けている」

 -地域ユニオンの役割とは何か。

 「労働者にとって、労働相談、紛争解決の最後のとりでとなっていることだ。個別労働紛争を取り扱う機関として、(1)労働局による助言や指導、あっせん(2)裁判所の労働審判や本訴訟(3)自治体の労政事務所によるあっせん-などがある。ユニオンは、加入した組合員の主張を整理し、企業側に労働組合法に基づく団体交渉を申し入れて問題の解決を目指す組織だ。当時、全国ネットの自主解決率は74・5%だった。他の機関の解決率(和解・あっせん成立率)を上回っており、連合福岡ユニオンはその中で最も高水準だった」

 「労働紛争は、事業主の法令違反がきっかけになることが多い。一方で行政機関は労使双方の意見を聞きながら公平性を重視するあまり、労働者が期待する解決に行き着かないことが少なくない。そこを、『とりで』としてのユニオンが補ってきた。ユニオン加入まで至らなくても、電話で助言を行うケースもある。労働局の相談窓口のような、公的機関としての役割も果たしてきた。企業内組合と大きく異なる点だ」

┃正義の場に引きずり戻そうと粘る

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