路線価、天神の上昇ストップ 九州平均5年連続プラスでも4県で下落

 福岡、熊本両国税局が1日発表した九州7県の2021年分路線価(1月1日時点)は、平均変動率が前年比0・4%増となり、5年連続のプラスだった。ただ、長崎、大分両県が下落に転じ、宮崎、鹿児島両県とともに4県がマイナスとなった。41年連続で九州一の路線価だった福岡市・天神で横ばいになるなど、新型コロナウイルス禍の影響により、上昇の勢いは鈍化し陰りも見え始めている。

 対前年変動率の平均値がプラスだったのは福岡県(1・8%)、佐賀県(0・4%)、熊本県(0・1%)の3県で、いずれも上昇率は縮小した。マイナスだったのは長崎県(0・8%減)、大分県(0・1%減)、宮崎県(0・6%減)、鹿児島県(1・1%減)。下落が続く宮崎、鹿児島もマイナス幅が拡大した。

 九州トップの路線価だった福岡市中央区天神2丁目の渡辺通りは、前年まで7年連続で続いた上昇がストップ。井上真輔不動産鑑定士は「訪日客消費の比重が大きい商業やホテル用地の需要が低迷したことが響いた」と分析する。オフィス空室率が徐々に悪化するなど、伸びしろが無くなっているとの指摘もある。

 九州の税務署別で最高路線価上昇率が最大だったのは、福岡市早良区西新4丁目の明治通りで10・0%増。周辺でタワーマンション建設が進み、居住地としての魅力が高まる。3位だった同市東区千早4丁目の千早並木通り(8・7%増)など、生活利便性が高いとされる住宅地の上昇が福岡県全体を引っ張る。

 同市中心部では市の再開発促進策で、複数の高層ビル建設計画が同時並行で進む。日本不動産研究所九州支社の高田卓巳鑑定士は「新ビル入居者の顔ぶれで街の格が決まるだけに、今後活性化できるかどうかの鍵を握る」とみる。一方で「テナントが埋まるかどうかは見通せず、不確定要素も抱えている」と案じる。

 平均変動率が4年連続プラスだった佐賀県は、JR佐賀駅周辺で福岡都市圏への通勤者を狙ったマンションの開発用地に関心を示す企業や資産家の動きが続く。熊本県は平均変動率はプラスを維持したが、県内最高路線価だった熊本市中央区手取本町の下通りで0・9%減と、前年の16・5%増から下落に転じた。税務署別の最高路線価のうち、豪雨被害が大きい人吉市九日町の九日町通りは9・1%減で九州最大の下げ幅となった。

 前年のプラスからマイナスに転じた長崎県と大分県は、失速した観光分野や訪日客の落ち込みが反映される格好。織田不動産鑑定事務所(長崎市)の織田雅雄鑑定士は「客足が遠のいた歓楽街が受けたダメージは大きい。郡部や離島の下落傾向もあって低迷した」と話す。

 下落が続く宮崎、鹿児島両県は繁華街の人出が減ったことでさらに先行きへの懸念が強まる。複数の再開発が進行中の鹿児島市中心部「天文館地区」は活発化していた従来の不動産取引がコロナ禍で停滞。県全体の平均値を押し下げる要因になっている。

(布谷真基)

 

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