【動画】天安門楼上、人民服の習氏 “毛沢東氏と並び立つ指導者”

 【北京・坂本信博】中国にとって新型コロナウイルス禍後最大の政治イベントとなった1日の中国共産党創建100周年記念式典は、習近平党総書記(国家主席)の1強ぶりを内外に示す壮大な独演会となった。約7万人の党員らが歓呼の声を上げた会場で、統制の厳しさとあやうさを垣間見た。

 午前5時すぎ、北京の天安門広場に朝日が差し込む。1949年の建国宣言や89年の天安門事件など、現代中国の歴史が刻まれた広場で、軍楽隊の演奏や儀仗(ぎじょう)隊の行進、コーラスのリハーサルが始まった。「立ち上がり、豊かになり、強くなる」。結党から改革・開放、強国路線まで党の100年を振り返るスローガンを連呼する若い男女の声が響く。

 開会30分前の午前7時半。スタッフが参加者に「マスクを外して」と呼び掛けた。聞き間違いかと思ったが、そうではなかった。「世界各地で新型コロナの猛威が続く中、7万人がノーマスクで集まる姿を内外に発信して、習指導部のコロナ対策の成功ぶりをアピールする狙いがあるんだろう」。外国メディアの記者がつぶやいた。

 午前8時前。広場全体に「おーっ」と歓声が湧き起こった。天安門の楼上に習氏や最高指導部メンバーが姿を現したからだった。

 スーツ姿の最高幹部たちの中で、習氏だけが灰色の人民服を着ている。習氏の足元、天安門に掲げられた建国の父・毛沢東氏の巨大な肖像画と同じ格好だ。

 党創建95周年の式典では習氏も洋装だった。毛氏以来の終身支配がささやかれる68歳の習氏。北京の外交筋は「習氏が毛氏と並び立つ指導者だと印象づける演出」とみる。トップへの過度な権力集中を防ぐため、〓小平氏が敷いた集団指導体制の終焉(しゅうえん)を感じた。

 広場上空に人民解放軍の戦闘ヘリや最新鋭ステルス戦闘機「殲20」が飛来し、「100」の数字や「人」の字を編隊飛行で描くと、歓声がひときわ増した。殲20は台湾海峡を監視する部隊に配備されている。国際社会を刺激するのを避けるためか、軍事パレードはなかったが、台湾をけん制する狙いが透けた。

 カメラの望遠レンズで天安門楼上に意外な顔を見つけた。香港政府の林鄭月娥行政長官だ。7月1日は英国からの香港返還記念日でもある。共産党の節目を優先し習指導部に忠誠を示す狙いがあったのだろうか。

 腹に響くような100発の礼砲と兵士たちの行進の後、メインイベントである習氏の演説が始まった。「われわれをいじめようとすれば、14億中国人民の血肉で築いた鋼鉄の長城に必ずぶつかり、頭から血を流すだろう」。異例の激しい言葉で米国などとの対決姿勢をあらわにした。

 直後、雨が降り始め、やがて雷が鳴った。当局が配布した雨具を参加者が一斉に着込む。雨がやみかけると「雨具を脱いで」とスタッフが指示して回った。習氏の呼び掛けに拍手で応えるか、小旗を振るかも統制が敷かれている。

 「いかなる台湾独立のたくらみも断固粉砕する。国家主権と領土の保全を守る中国人民の決意を見くびるな」。屋根に覆われた楼上から、雨にぬれる観衆が見えたかどうか。始めは低くゆっくりだった習氏の口調は次第に高揚し、演説は1時間5分に及んだ。

 集合時間が早かったせいか居眠りをしたり、あくびをしたりする参加者も。それでも、最後に習氏が「偉大な中国共産党万歳」「英雄の中国人民万歳」と語気を強めて右拳を振ると、全員が懸命に小旗を振った。

 ※〓は「登」に「おおざと」

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