東京都議選 自民党に政権不信の逆風

 第1党の座を奪い返したとはいえ、伸び悩みは歴然としており、勝利と呼ぶには程遠い。自民党は自らに吹く民意の逆風を重く受け止めるべきだ。

 東京都議選(定数127)で自民党は大敗した前回より10議席多い33人が当選したものの、選挙協力した公明党と合わせて過半数という目標には届かなかった。公明は擁立した23人全員が当選しているので、自民の結果が大きく響いた。

 自民の獲得議席数それ自体が過去2番目の少なさで、翌月の衆院選で下野した2009年都議選を5議席下回った。苦戦が予想された都民ファーストの会にも2議席差と迫られた。

 自公で過半数という目標について自民党内には楽観ムードさえあった。伸び悩んだ主な要因は無党派層の支持に広がりを欠いたことだろう。報道各社の出口調査では、無党派が最も支持したのは都民ファーストで、自民は共産党や立憲民主党にも後れを取った。

 新型コロナ禍での選挙戦は盛り上がりを欠き、投票率は過去2番目に低い。低投票率ならば優位とされる自民だが、今回は組織力も生かせなかった。

 コロナ対策の緊急事態宣言は告示直前に解除されたが、選挙中に感染再拡大が鮮明となり、ワクチンの職域接種の急きょ中止や自治体向け供給の滞りといった混乱も重なった。

 こうした状況が、政権のコロナ対策を批判し、東京五輪の無観客開催や中止を訴えた都民ファーストや共産、立民の追い風となったのは否定できない。

 今回の都議選は、秋までに行われる次期衆院選を占う試金石として注目された。

 自民は4月の国政3選挙で不戦敗を含め全敗し、北九州市議選などの大型地方選挙でも敗北が続く。間もなく五輪を開こうという首都で、想像以上の逆風を浴びた痛手は大きい。菅義偉首相にとっては、場当たり的なコロナ対策を改め、ワクチン接種を順調に進めて国民の不安解消に努めるしかないだろう。

 一方、立民と共産にとっては衆院選での選挙協力の予行演習でもあり、多くの選挙区で候補者をすみ分けた。立民は現有から倍増の15議席を得たが、都民ファーストに大きく及ばず、政権批判の受け皿とは必ずしもならなかった。共産も前回と同数の19議席で、他の国政野党は0~1議席に終わった。

 過労を理由に入院していた小池百合子都知事は選挙戦最終盤に退院し、自身が創設した都民ファーストの応援に入り存在感を示した。国政復帰の観測が絶えないだけに今後の波乱要因となる可能性もある。各党の衆院選戦略も見直しを迫られよう。

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